06
『 !! 』
「 どうしたの、おねーちゃん 」
『 ……風が変わった 』
それを察したのは私だけでなく兄さん達も分かったようで。
忍服に着替えると蝋燭を消し戦闘の体制へと変わった。
「 …囲まれています 」
「 ……では、打ち合わせどおりに 」
「 まず、私と立花君が陽動を仕掛けそのまま喜三太救出チームに合流する 」
「 光が強めです、気をつけて 」
髪を結い直し自身の宝禄火矢を不服だが鉢屋三郎と不破雷蔵に渡した。
此奴らに渡すならもうちょっと威力強くても良かったなぁと少しだけ後悔している。
『 威力は私が持ってる中でも強め。爆破に巻き込まれたら片腕くらいは飛んでいくと思ってた方がいい 』
「 こりゃまた恐ろしい物持ち歩いてんなぁ 」
「 陽衣ちゃんは本当に無くて大丈夫なの? 」
『 あるに越したことは無いけど火車剣があるから平気。それより自分の心配したらどうなの 』
「 ねぇさん…無茶、しないでくださいね 」
庄ちゃんが袖を小さく引っ張りその手は震えていた。
きっと得意武器である宝禄火矢を全てこの二人に渡したから火車剣と苦無だけでは心配なんだろうけれど、
『 私にはあやべがいるから 』
「 …あっ! 投箭のあやべ! 」
『 兵ちゃん正解。だから庄ちゃん、大丈夫 』
確かに火薬が関わる物は基本的に得意としているけれど何も爆発させるのだけが得意なわけじゃない。女で少しだけ身軽な分、人より身体が柔らかい為木があるとこだと誰よりも上に飛べる私が一番得意としてるのが投箭だ。
きはちから貰った細く肉も裂ける強い糸が付いている投箭があるから問題はなにもない。
「 韋駄天 乱太郎が先触れに走り護衛に伊作と陽衣がつく 」
「 陽衣、乱太郎を頼んだぞ 」
『 ……了解しました、立花先輩 』
喜三太を助けに行きたいと願う乱太郎を伊作先輩に任せて頭の中を切り替える。
わかっているな、立花陽衣、この忍務は自分一人でやっているんじゃない。
周りにも目を耳を感覚を向けろ、忘れるな、一年がいるということを。
『 立花先輩、山田さん、気をつけて 』
「「 あぁ 」」
そして眩しい光が辺りを包んだ。
20201028