05
「 じ、実はかくかくしかじかで…! 」
まだやってるのか、それ。
と口から出かけた言葉を飲み込んだら乱太郎ときり丸としんベヱが私以上に冷たく返してた。
まだ無視された方がマシだろうに。
「 で、お前たちは何を見たんだ? 」
「 はい! 実は…かくかく! 」
「「 しかじかでして! 」」
「 ダハッ 」
『 邪魔です山田さん 』
盛大にコケた山田さんにハッキリ言うと彼は少し涙目だったが別に放置していても問題はないだろう。
にしても何故オーマガトキ城主の大間賀時曲時がタソガレドキの忍と────
「 …包帯だらけの大男ならタソガレドキの忍び組頭、雑渡昆奈門でしょう。恐るべき実力者と聞いています 」
「
怒ったおねーちゃんより強いのかな? 」
『
さぁ…戦ったことないからわからない…けど… 』
先生方や先輩達も気づいたみたいで。
兵ちゃん達は庄ちゃんを除いて分かってないみたいだけれど。兵ちゃんに至っては私と雑渡昆奈門のどちらが強いのか気になっているみたいだ。
そんなは組の子達に土井先生が優しく声をかけ庄ちゃんが説明していく。
「 どっちもやる気がないこの戦! オーマガとタソガレは実はグルだったんだ! 」
庄ちゃんの言葉に理解したきりちゃんの瞳は小銭状態だが更には組の皆に分かりやすく説明をし始めた。
うん、平和だなぁ。
「 そうか! それがグルだったとしたら…! 」
「 タソガレ側はどっさり受け取った金品の一部をオーマガに渡すに違いない! そうだよね!? ねぇちゃん!? 」
『 うん、そうだね 』
褒めて褒めて!と頭を出すから結った髪が崩れない程度に優しく撫でると珍しく金吾も隣に小さく座ったので彼の頭も撫でてあげた。
こうやって戦に近づく子供達を見ていると子供の成長は早いなぁ、なんて思ってしまう。
「 前回の戦で敗れた大間賀時曲時はタソガレドキと密約を交わしたに違いない。園田村をはじめオーマガトキの村々はとっくにタソガレドキのものになっているんだ 」
「 まっとうな年貢では取れないところまで搾るつもりですな 」
「 それにしても自分の領民を騙してまで儲けようなんて! 」
「 しんベヱに似ているくせになんて酷い殿様なんだ! 」
そういう問題ではないだろう、と言いたげな兄さんと目が合い思わず苦笑してしまった。
それがこの子達の可愛いところじゃありませんか。
「 ちなみにタソガレドキ城主、黄昏甚兵衛はこんな顔 」
「「「 黄昏甚兵衛 変なかおー! 」」」
20201025