全員出動の段 | ナノ

04



『 立花先輩、山田先生達との合流場所はこの辺りですよね? 』

「 あぁ 」


立花先輩の後に着いていき走って行く。
これなら日が落ちる前には合流出来そうだ。
それより喜三太は無事だろうか、酷い目に合ってないといいのだけれど。


「 喜三太なら大丈夫だろう。アレでも忍たまなのだから 」

『 ……そんな顔に出してましたか 』

「 何年お前の兄をやっていると思ってるんだ、阿呆。もうすぐ着くぞ─────今度こそ切り替えろ 」

『 …わかっています 』


本当にすぐ辿り着いたボロボロの建物に山田先生の名を呼ぶ立花先輩の後について行くと、庄左ヱ門 三治郎 兵太夫 虎若 伊助がいて隅には日向先生と不破雷蔵と鉢屋三郎もいるではないか。


「 立花先輩とねぇさん!! 」

「 おねーちゃん!!? 」

『 あら、山田さんがいる 』

「 実はかくかくしかじか…! 」

『 へぇ 』「 そうでしたか 」


軽く返事を返すと山田さんは床に転がっていたがそれを無視をして山田先生の前に膝を着く。
そこに寝転がっていると邪魔なんですけど、と視線で訴えると起き上がって手にはめているパペットを見つめていた、なんなんだこの人。


『 学園長先生からの使いです 』

「 何か? 」

「 園田村の手潟さんが学園に訪れたことを監視していた者がいました 」

「 オーマガトキは諜報に力を入れていない とすると… 」

『 はい。タソガレドキが園田村と忍術学園の関係に気づいているということです 』


今後のことについて学園長先生からの伝言を山田先生へ伝えるべく他の者に聞かれぬよう耳打ちで立花先輩が伝えた。
本当に厄介なそうな顔をした山田先生に少しだけ同情したのは内緒だ。


「 陽衣、学園長先生の伝言は伝えた。もう大丈夫だ 」

『 ………、兵ちゃんッ! 庄ちゃん、虎ちゃん、伊助、三治郎大丈夫!? 無茶してない!? 』

「 うん! 僕達ね、タソガレドキの情報集めに行ったんだよ! 」

『 そう、頑張ったね…! 』


兄さんから一先ず忍務終了の声を耳に入れるとふっ、と肩から力が抜けて目の前にいたは組の子達を抱きしめた。
誰一人怪我をしてないことへの安心感で涙が溢れそうになったが今はまだ泣いちゃいけない。
目的の子を救うまでは、絶対に。


「 もうすぐ土井先生達も合流すると思うぞ 」

『 アンタには何一つ聞いてないので 』


突然背後から声を掛けてきた鉢屋三郎を適当にあしらいつつ膝の上に座った兵ちゃんの頭を撫でた。
あ、紙紐が緩んでるよ。と伝えながら作法室でやってるみたいに兵ちゃんの髪を結い直していると土井先生達オーマガトキ組も小屋へと合流したのだった。



20201022

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