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「 陽衣さん、なに隠してるんですか 」
トモミにそう言われて硬直した身体。
この子は本当に人のことをよく見ている。
きっと矢羽根で会話していた事も全て察しているんだろう。
『 …ちょっと、ね 』
「 私、陽衣さんのそういったトコロ嫌いです。いつも一人で抱えようとして自己犠牲が激しいっていうか 」
少し前に取った水ヨーヨーを小さな手で包み俯いているトモミから視線をズラした。
今回は一人で抱えてもいないし自己犠牲もするつもりはない、けど今の彼女にとってそれはどうでもいいのだ。
何故話してくれないのか、が重要なのだから。
トモミが怒ってる理由も拗ねてる理由も全部知ってる、わかっている。
だからこそ言えない事だった。
巻き込みたくない、折角の文化祭を本当はユキやおシゲと楽しんでほしいのに。
『 折角の文化祭を台無しにしたくなくて、ごめん 』
「 ……わかってます。貴女の優しさは誰よりも理解しているつもりだから 」
ゆっくりと私の傍に歩み寄って冷たくなった手を優しく握ってくれた。
思わず目を見開いては彼女の芯の強い瞳を見つめる。
「 行ってください、陽衣さん。貴女が正しいと思う所へ 」
『 トモ…ミ… 』
「 もぉ、そんな顔しないでください! その代わり今度埋め合わせしてくださいね? 」
『 …あぁ、もちろん 』
トモミに小さく手を振りその場を離れ私は曲者を追っているは組と尾浜勘右衛門の元へと急いだ。
「 ほんっと…The 忍!ってかんじだなぁ… 」
そんなところが好きなんだけど
20201207
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