セージ | ナノ

05



やばい

兎に角やばい

ねぇちゃんは変わらず笑顔だけど絶対にめちゃくちゃ怒ってる。
だって湯呑みを持つ手が震えているもの。


「 ね…ねぇ様…大丈夫ですか…? 」

『 大丈夫 』

「 姉さん、やっぱり綾部先輩か田村先輩を… 」

『 いらない 』


両隣から裾を握りねぇちゃんを抑えようとしている伝七と浦風先輩。
それにしてもなんで今日に限ってこの三人はこの人の地雷を踏んでくるのだろう。


『 あのね、三人共。私は五年生と色々合ったから仲良くできないの 』

「 でも不破雷蔵先輩は仲良くしたいらしいっすよ? 」

『 ………コレあげるから伝言よろしく。アンタ達と話すことは無いって 』

「 あい!!! 」


きり丸は食券数枚を片手に銭目になって作法室から嵐のように消えていった。
きっと行く先は不破雷蔵先輩がいる図書室とかそのへんだろう。


『 …ごめんね、乱太郎 しんベヱ。今日は元々体調がよくなくて。苦手な人の話になるとちょっとイライラしちゃった 』


ゆらり立ち上がったねぇちゃんはそのまま作法室から出ていこうとする前に此方に振り返り力無く笑うのだ、話しかけてこないでと意味を込めて。


『 また今度おいで。美味しい茶菓子を買っとくから 』


嵐の様に去ったきり丸とは違い足音一つ立てることなく消えたねぇちゃんが居なくなった作法室はとても静かで空気が重かった。


「 …浦風先輩、なんで五年生と立花陽衣先輩はこんなに仲悪いんですか…? 」

「 えっと…それは… 」

「 それは俺が話すよ 」


浦風先輩が乱太郎の質問に答えずにいると第三者の声がした方へ顔を向ける。


「 久々知兵助先輩… 」


ねぇちゃんと、双忍だった人。

ねぇちゃんの、大切な人。



20201024

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