セージ | ナノ

04



「 ね、ねぇ様! 遅くなりました! 」


肩で息をしている伝ちゃんが作法室の襖を開けると彼の背後にはニコニコとした最近私を追ってきている三人組がいた。


『 ……今日は委員会活動やめとこっか 』

「 姉さん!? 立花先輩に怒られますよ!? 」

『 平気、どうせ兄さん三日くらいは帰ってこないから。皆が内緒にしてくれたら、ね? 』


きっとあの子達は私に用があったんだろう、それに兄さんもいないし事情が事情だから話せば少しくらいサボっても怒られることはない。
この件で怒られるなら間違いなく私やこの子達ではなくきはちとみきちゃんだ。


「 喜八郎先輩呼びますか? さっき来る途中に学舎の周り掘ってるの見ましたけど… 」

『 伝ちゃんは優しいね。けれど今きはちは呼ばないでほしいな 』


三人を連れてきて、態々原因であるきはちを気にする優しい伝ちゃんの頭を撫でて褒めると少し頬を染めて頷き照れながら慌てて兵ちゃんと共に長机の用意をし始めた。
藤ちゃんはお茶の用意をしてくれているので私は茶菓子でも用意しようかなと思ってこの前兄さんに買ってきてもらった少しお高い羊羹を切り分けた。


『 さて、どうぞそこに座って 』


私の隣は伝ちゃんと藤ちゃんが座り、目の前の長机には三人と兵ちゃんが座った。
何故かややご不満そうな兵ちゃんは後で一緒に散歩でもしようと今決めた。


「 あ、あの! 私、猪名寺乱太郎と言います! 山賊に襲われた時は助けてくださりありがとうございました! 」

「 俺、きり丸です! ずっと話したかったんすけど綾部先輩と田村先輩に邪魔されて… 」

「 僕、福富しんべヱで~す! 今度美味しいお団子食べに行きましょ~! 」

『 わぁ想像以上に元気な子達だった 』


一気に三人が喋りかけてきて驚きはしたものそれ以上に厄介な先輩を知っているからこれくらいなら私一人でなんとか出来そうだ。
念の為に兵ちゃんを其方に座らせたけどあんま意味が無いようなので羊羹食べたら膝の上においで。


『 きはちとみきちゃんが邪魔をしてごめんね。私がもっと早くに止めてたら此処まで足を運んでもらうことはなかったのに 』

「 いえ! あの…それより実は少し気になっていたことがあって、ずっと先輩とお話したかったんです 」


乱太郎が丁寧に黒文字を置いて目を見て話しかけてくるものだからそこまで真剣な話かと思い私も黒文字を置いた。


「 五年生と仲良くしないんですか? 」



20201021

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