セージ | ナノ

03



結局あの日からまだ一度も立花陽衣先輩に会えないまま早数日が経った。
四年生の長屋に行っても教室に行ってもいつも綾部喜八郎先輩に「 陽衣はいっませーん 」って言われて追い出される。


「「「 はぁ…… 」」」


ただ会ってお話したいだけだと言うのにあの人のガードが厳しすぎてここ最近はため息ばかり。この間も先輩らしき後ろ姿を見かけて声をかけようとしたら落とし穴にハマってその間に田村三木ヱ門先輩が別の場所へと連れて行ってしまったし、別の日は砲弾が飛んでくるし四年生のあの二人がいないタイミングが無いのだ。


「 は組がため息なんて珍しいな。いつも通りテストの点数でも悪かったのか? 」

「 はぁ…伝七はなんでそんな言い方しかできないかなぁ… 」

「 事実だろ。でも折角だから話を聞いてやろうと思って。い組は、は組程暇じゃないから手短にな 」

「 誰も話を聞いてくれなんて頼んでねぇよ… 」

「 あのねぇ~、カクカクシカジカでぇ~ 」


私ときり丸が机の上でだらけているとしんベヱが事情を伝七に話してしまった。
仲間外れにしないのはしんベヱの良いところだとは思うけれど今はその時じゃないよ、しんベヱ。


「 なんだ、ねぇ様に会いたいのか 」

「 ねぇ様ぁ? 伝七と立花陽衣先輩って姉弟だっけー? 」

「 作法委員会の下級生は皆あの人の事を姉の様に慕っているんだ。三人と同じクラスの兵太夫も呼んでいるし、三年は組の浦風藤内先輩も呼んでいる 」


自慢げに話す伝七に少し腹が立ったけれどそれより少し気になることがあった。
兵太夫の事だ、彼は先輩と同じ委員会だからなんとかできないかと思って相談したけれど「 何も出来ないよ 」って言ったのだ。
もしかして兵太夫も綾部先輩と組んでいるのかもしれない、となると伝七も組んでいる可能性は無くもない。


「 ねぇ様に会いたいなら今から一緒に作法室に行くか? 今日はねぇ様が化粧の仕方を教えてくれる日だから絶対にいるだろうし 」

「 そこに綾部先輩は? 」

「 喜八郎先輩? 彼はこの時はいつもその辺で穴を掘っているよ。休憩中か委員会が終わった後にねぇ様に呼ばれたら来るけど 」

「 じゃあ今はいないんだな!? 」

「 た、たぶん 」


きり丸の気迫に伝七が押されつつあるもの良い情報を得ることが出来、伝七を引っ張って作法室へと向かうことになった。



『 最近一年生三人に追われてるんだけど兵ちゃん、理由知ってる? 』

「 さ、さぁ? (絶対に乱太郎、きり丸、しんベヱだ…!) 」


201019

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