響也04 | ナノ








それなりにロマンス



※拍手再録。



響也くんって小日向さんと付き合ってるの?
今日の今日とて同級生にそうきかれ、響也はうんざりしたように顔をしかめた。
世の中にはゴシップ好きな連中が多過ぎる。
誰と誰が付き合ってるとか別れたとか、そんなことは放っておいてやれよと響也自身は思うのだが、世間はそう思わないらしい。
だからこそしつこく聞いてくるのだろうが、毎日同じやり取りをするのもいい加減あきてきた。
「付き合ってねぇよ、いつも一緒にいるけどただの幼なじみだ」
半ばおざなりにいつもの言葉を告げる。普段ならここで会話は打ち切られるのだが、今日は違った。
「じゃあ、かなでちゃんの片想いかあ」
「は?」
聞き捨てならない台詞に響也が目を見開く。
聞かれた当人はやれやれと首を振って今にもその場を去りそうだ。
「待て、ちょっと待て」
その話本当かと問いただすと、相手は勿論だと深く頷く。
「だってかなでちゃんに聞いたんだから間違いないよ」
揺るぎなく発せられたその言葉に、響也は心の中でガッツポーズをした。




――のだが
「やっぱりそんなわけないよな」
寮に帰って何気なしにかなでにその話を振ると、彼女はいとも簡単に頷いてみせた。
「いったよ。だって響也が好きなのは本当だもん」
それだけを聞けば天にのぼるような心地だったに違いない。
だが、かなでの言葉には続きがあった。
「律くんも大地先輩もハルくんもみんな好きだよ」
どうやらかなでの言う好きは響也の想像する好きとはまた別のものらしい。

わかってたよ
お前がそういう奴だって

期待していた分だけ高い場所から叩き落とされて浮上できない響也に、かなではそっと囁く。
「でもね」
なんだよこれ以上叩きのめす気かよ。胡乱な目でかなでをみると、かなでは何故か可愛く頬を染めて響也を見上げた。
「一番好きなのは響也だよ」
その言葉に響也が再び有頂天になったのは言うまでもない。





あとがき
拍手再録。お礼の短文。報われない響也ばっかり書いてたので、響也が報われるとこんな感じ。そして一生かなでに振り回されるとよい。

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