※腐向け
※カプは静臨
※まだ下書き
※書いてるうちにグダグダに
※推敲前
※オチがメモ程度。
※臨也が乙女だと感じる人が
 居るかも
※文才なんてないよ。
※当たり前のごとく未完成。
※当たり前のごとく
 二人が恋人同士
※彼シャツ書きたかっただけ
※彼シャツ書きたかっただけ

※念のためにもう一回

 かれしゃつかきたかっただけ




































title「寄らば、」





今日は仕事もオフだったから、久々に家でゆっくりしていたら、珍しい事に臨也が俺の家までやって来た。
顔を合わせれば喧嘩腰だったのは少しだけ昔の話。今はかくかくしかじか、非常に色々、そりゃもう様々な出来事があってめでたく(?)恋人同士の俺たち。そんなもんで、「まぁ入れよ」なんて、特に疑問も持たず臨也を家に上げた。
しかし、まぁ、お互いに家に恋人を上げたところでイチャイチャラブラブする程甘ったるい性格でもない。俺はソファーに座って新聞を読み、臨也は部屋の中をせわしなくウロウロしていた。
しばらく臨也が動き回るガサゴソガタゴトバコンッ!という音をBGMに(ちょっとは落ち着け)新聞を読んでいたら、急に前方から声がかかった。

「ねぇ、シズちゃーん。」
「ん?」

目線は新聞の文字を追いながら、生返事。
臨也は構わず続けた。



「シズちゃんはさぁ、どうしてこんな大きくなっちゃったのかな〜?」




はぁ?と言いつつ顔を上げれば、目線の先、臨也がいつものコートの代わりに、どこから引っ張り出したのか俺のシャツを羽織っていた。コートは丸めて足下に放られている。




「…………暑くねぇか?」

「コートの方が涼しいと思ってんの?」



素直な感想をいつものように皮肉で返され、ムッとして「じゃあなんで夏でも長袖にコートなんだ」と問えば、「焼けちゃうじゃん」と笑い混じりに返ってきた。

「んな女みてぇな…ちょっとは焼けた方がいいんじゃねぇの?」

俺が大きく開いた青白い胸元を見ながら言うと、臨也はわざとらしく腕を交差させて身を引いた。

「やぁだ、シズちゃんどこ見てんのー?セクハラー」

ケラケラ笑う臨也にイラっときて、手元にあったクッションを投げつける。
臨也は含み笑いを保ったまま、飛んできたクッションをヒラリと避けた。ふわ、と俺のシャツが舞う。
かわされたクッションの方は、その先にあった棚にぶつかって派手な音を立てた。
俺がしまった、と思っている内に、白をまとった黒がトントン、と更に二歩ほど素早く下がる。

その直後、棚に置いてあったCDや本が、けたたましい音をたてながら床に落ちた。

手加減したつもりだったんだがな…。

ひとしきりバラバラガシャンと落下音がした後、騒音に眉をひそめたままの俺に、臨也がニヤリと笑う。


「なぁにー、シズちゃーん。図星つかれて逆ギレー?クッションとはいえシズちゃんが投げるととんでもないんだからさぁ、分かってるー?」
「うるせぇ、」



ニヤニヤとうるさい臨也を一蹴し、乱れた棚を戻そうとソファーから立ち上がる。
臨也は、手伝う気はこれほども無いらしい。
サイズのデカい俺のシャツを羽織ったまま、しゃがんだ俺の背中を見下ろしていた。
しかし、落ちた物を手の中に収めた俺が立ち上がると、スッと首が上がる。当然、臨也は俺を見上げてしまうわけで。

「…………シズちゃんの巨漢」

よほど気にくわなかったのか、スネを蹴ってきた。

「くすぐってぇよ」
「人が全力でスネ蹴ったんだからさ、少しは痛がったらどう?」

そんな事を言われても、俺の特異体質の事は臨也だって分かってるはずだ。俺はフン、と鼻を鳴らすと、棚をキレイに戻してまたソファーまで戻った。
臨也は、その一連の動作を目で追っていた。そして、俺がソファーに腰を沈めたのを見ると、黙ってこちらに向かって来る。

またスネを蹴られるかな、と身構えたが、俺の予想に反して、臨也は俺の隣へと素直に身を沈めた。
相変わらず俺のシャツを羽織っている。


もしかしてクーラーが効き過ぎているのかとも思ったが、だとしたらコートを脱ぐ意味がわからない。
一応「寒いのか」と聞いてみたが、返ってきた言葉は「大丈夫だよ」だった。
本当に奇妙な事をするものだと思っていたら、臨也が口を開いた。


「シズちゃんさぁ、君みたいなのをなんて言うか知ってる?」
「なんだ?」
「ウドの大木っていうんだよ。」

どうやら、さっきの事がまだ気にくわないらしい。俺は呆れてため息をついた。


「身長はしょうがねぇだろ。俺だって好きででかくなったんじゃねぇよ。」
「またまたぁ、うそばっかり。小さい時から乳製品ばっかり摂ってたんでしょ。シズちゃん大好きだもんね、乳製品。」
「好きってわけじゃねぇけどよ…」
「好きじゃないんだったらさぁ、牛乳とかバニラシェイクとかよく飽きもせずに飲めるよね。シズちゃんの血って牛乳でできてるの?乳製品?」
「あほか。」
「そうだよねぇ、有り得ないよねぇ。シズちゃんの血真っ赤っかだもん。あ、もしかして乳製品ばっか摂ってるからシズちゃんのミルクってあんなに濃…うぶっ」
「黙れ。」


臨也の顔に、ぼふ、とクッションを押しつける。真っ昼間からなんつー話題だ。
クッションをどけた臨也は「いたいよ、」なんて顰めっ面で言った。フン、と鼻を鳴らしながら、自業自得だ、なんて言えばますますムスッとむくれた。
それがなんだか可愛く見えてしまってクスッと笑えば、臨也がむくれたまま、ちら、とこちらに視線を寄越した。
しかし、すぐに目線を前に戻すと、

……何を思ったのかいつもの黒いTシャツを脱ぎだした。

「お、おい…」

なにやってんだ手前。
驚く俺を余所に、臨也は脱いだ服をポイ、と放る。ちゃんと畳めコラ。
いや、それよりも問題なのは黒い服の下から現れた白い素肌。やっぱりちょっと焼けた方がいいんじゃねぇの。色々アレで、目のやり場に困る。
気まずさから視線を泳がせている俺などガン無視で、臨也は服を脱いだ拍子に肩から落ちた俺のシャツを手に取ると、バサリと腕を通した。
幽が俺の為に注文した服だ。勿論臨也にサイズが合うはずもなく、袖は余っていて指先しか見えない。
しかし、そんな事はお構いなく、両方の腕を通した終えた臨也が、今度はシャツのボタンをはめだした。

「………………」

顰めっ面でボタンをはめている臨也が、パジャマを一人で着ようとしてる幼稚園児に見えるとか言ったら怒られるだろうか。

そんなアホな事を考えている俺を余所に、シャツのボタンをはめ終わったようだ。臨也は、ダボダボの袖を顔の前に持ってきた。

「でか………」
「たりめーだ。」

身長差幾つあると思ってやがる。その前に手前はただでさえ体細いっつーのに。
案の定、今の臨也を見れば、ボタンを一番上まではめているにも関わらず、鎖骨が丸見えだ。肩線だって合ってなくて、服の至る所にあまり皺ができている。カフスはとめていないが、留めていたとしても意味はないだろう。

しばらく余ったそでを顔の前でぶらぶらさせていた臨也が、ムスッとしながら言った。


「シズちゃんのくせに俺よりデカいなんて何様?信じられない。最低だよ。」
「おい、理不尽すぎるだろうがそれ。」


だんだんイライラしてきた俺は、煙草を探してポケットを探り出した。
そんな俺を横目でジトっと睨み、臨也が呟くように零す。



「……知ってる?シズちゃん。」
「ああ?」

方眉を吊り上げながら返事をすれば、臨也は無表情のまましゃべりだした。


「独活(ウド)ってさぁ、成長すると2メートル以上の大木になるんだけど、若芽みたいに柔らかくないから食用にはなれないんだよね。かといって建築用材にするには柔らかすぎてぜんぜんダメ。つまり、大きいだけで役に立たないわけ。あはは、むしろ邪魔なだけだよね、2メートル以上の大木なんてさぁ。」


俺は無言で煙草をくわえて、先端に火を付けた。

「何が言いてぇんだ。」
ふぅー、と煙と共に吐き出す。

ニヤと笑った臨也が、こちらを見た。




「……まるでさぁ、恋人の前で煙草吸っちゃうほどデリカシー無くて、よく物壊すぶきっちょで、馬鹿で単調で背だけが異様に高いどこかの誰かさんみたいだなぁ!」



ミシ、手をついたテーブルがきしんだ。



「あ、怒った?」
ニヤニヤと笑う臨也に反省の色は見えない。
俺は、テーブルの灰皿に、まだ火を付けて間もない煙草を押し付け、

「あ、もったいなーい」

灰皿を覗き込んだ臨也を、力任せに押し倒した。


ぼす、臨也はソファーに背中を沈め、苦痛の表情を作った。

「いた、うで、」

臨也の上腕には、手加減しているとはいえ、俺の指が食い込んでいる。そりゃ痛てぇだろな。

「シズちゃん、痛い…!」

臨也が俺の腕を思いっきり叩くが、くすぐったいだけだ。
俺は力を緩めず、低い声を出した。

「……俺は、ウドの大木ってか?」

「…………………はっ、」



おれは、そこでようやくきづいた。

見下ろした臨也は、痛みに眉をひそめながら、


口元は確かにうっすらと弧を描いていた。



「……………臨也、てめぇ、」

「そう、シズちゃんは頭空っぽで何の取り柄もない独活の大木。………でもさぁ、」



ぷち、ぷち、臨也はシャツのボタンを外した。





「据え膳の意味が分からない程空っぽでもないよね?」



ああ、俺はまんまとハメられてしまったワケだ。



「………その頭空っぽを誘惑してんのは誰だ。」
「やだなぁ、シズちゃん。」


なんだか悔しくなって悪態をつけば、臨也は乾いた笑い声を出して俺の首に抱きついた。
すり、と擦り寄られ、

「………寄らば大樹の陰って言葉知らない?」


耳元で囁かれればもう降参。




俺は臨也の体を深くソファーに沈めた。






「寂しかったのか?」
「ん、まぁね。シズちゃん最近仕事仕事だったじゃない。」
「で、俺のシャツ着て誘ってたわけか。」
「シズちゃんホントどんかーん。もう、お願いだから一回死んでよ!」
「…………………覚悟しとけ」
「やだこわーい!」






-end-




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