■ 愛する貴方。

「もうすぐ付き合って一年だな」
そういう愛おしい彼の言葉を思い出す。

俺は、坂田銀時。
歌舞伎町で万事屋を経営している。
昔は、白夜叉と呼ばれ人々から恐れられていた俺だが、今は歌舞伎町のアイドルでもある。
そんな俺は、犬猿の仲だった土方に恋をした。
最初は俺の片思いで、男同士だし、別に付き合おうとか、この恋が実ってほしいなんてこれっぽっちも思ってなかった。

ある晩、さけを飲みに入った居酒屋で土方にあった。
そのままふたりで呑んで歩いていた。
飲み過ぎてテンションがあがってきた俺たちが入ってしまったのは、ホテル。
そのまま、男同士なのに我を忘れてやってしまった。
朝、目が覚めたら土方の腕の中におり、
「おはよ、」と言われた。
その日を境に俺たちの距離はぐんっと縮まった。
数日後、土方から告白され付き合うことに。


それからの俺たちは歌舞伎町でも有名なカップルになった。

それからあっという間に一年がたった。


「なぁ....、俺、明日、料理つくろーと思うんだけど
何食いたい??」

ソファに腰かけて刀の本を読む愛おしい彼に声をかける。

「あー...まぁ、銀時の作るもんならなんでもいい。」

「なんだよそれー、適当だな。」

「......じゃあ、マヨカレー」

「おう。」

短く返事を返すと彼は立ち上がって仕事へ向かった。

俺は、取り敢えず掃除して夕方、明日のマヨカレーの食材を買いに歩いた。

彼は喜んでくれるだろうか...?
ところで、なんで俺なんだろう?
俺なんて元々あいつの敵みたいなもんだし...
外見だって決していいもんじゃない。
性格だって結構歪んでるだろーし。









「なぁ、」

「ん?」

土方が10時ぐらいに帰ってきた。
お風呂から出てきた時に昼間考えたことを聞こうと口を開く。

「ちょっと聞きたいんだけどよ、お前俺のどこが好きなんだよ、?」

「は?」

俺の問いかけにきょとーんっとする土方。

「俺ってさ、性格も顔もそこまでよくねーし。」

「.....」

「だからさ、お前がどうして俺を選んだのかよくわからねーんだよ。
一番、恋愛が難しい...男だしよ。」




途中、何か言いたげな土方だったが、最後の「男」と出すと口を閉ざした。

そう、俺たちは恋愛が一番難しい男同士なのだ。
世間はそう易々と受け入れてはくれないだろう。
土方は「真選組副長」というえらい存在だ。
将来は綺麗な嫁さんを作って子孫を残さなければならないだろう。
それを俺が今、足止めしているんだと思う。

二人の間に沈黙が流れる。

お前の、邪魔になってるなら俺は....


「どこかなんて、わからねー。」


相手の発言に顔をあげる。

「気がついたら、目で追ってて...
気がついたら、抱いてた。」


「え...」


「多分、好きになるどうこうと考える前に、
自然に体が、心がお前に惹かれたんだと思う。」


ぽむ、と優しく頭を撫でられる。
きゅううっと胸を締め付けられて
生理的に涙が浮かぶ。

頭に乗せられた手を握って相手に抱きつく。

「銀時、?」

「俺も....、お前に、自然に惹かれた。
多分、運命なんだよな....、俺、今までそういう運命とか
信じてなかったからあれだけど、
お前と付き合って本当に運命感じてる。
お前に会えて、お前と付き合えて、お前と今、こうしていられることが
本当に幸せだと思う。
有難う....、」

ぼろぼろと情けないほどに涙を流して抱きつく。
話し終えると土方のおっきな手が俺の頬を優しく包んでキスをする。



「愛してる、銀時。」




「――俺も、愛してる。」






あなたには、心から愛する人間がいますか?
もし、いるならその手を離すことがあってはならない。
もしかしたら、その人は共に人生を歩む人間なのかもしれないのだから。
出会えたことに感謝―――





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有難う御座います。
これからも頑張ります。

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