■ 嘘つき



「ねぇ、土方。俺がどんな過去を持ってても愛してくれる?」

「...いきなりなんだよ。当たり前に決まってんだろ。」

「嘘...じゃないよな? 」

「噫、 嘘じゃねえ。 御前の過去も全部受け止める。
愛してる、銀時」

「俺も愛してるよ、土方」



【   嘘つき     】




「白夜叉の情報がつかめた!?」

銀時とデートのあと、俺は夜勤の仕事で屯所に戻った。
暫く書類を片付けていると部屋の麩が開き総悟が入ってきた。
いつものお遊びだったら追い出そうと思ったら、何年も調べてきた白夜叉についてであった。

「はい。歌舞伎町を出て南に向かうこと4時間の山の麓にある老人がおりましてねェ。そのオヤジに話を聞いたところ色んな情報が掴めやした。」


ペラペラと白夜叉について書かれた書類を揺らす総悟に少し苛々しながらも心を落ち着かそうと煙草を一本出して吸い出す。

「それで?」

「.........それがですねィ.... 容姿がそっくりなんでさァ。ある人に。」

「ある人?」

総悟は少し深刻な顔をする。







「髪型―― 、  白い天パ。
赤い瞳。白い戦服に黒の防具服。」






「.....それって。」






「...........似てるんでさァ、




万事屋の旦那に。 」












****************




「今日はー.... あっ!午後から土方とデートか...
昨日デートしたばっかりなのに........早く会いたい...」

最近俺のスケジュールは土方のデートで埋め尽くされている。
一週間に4回は会っている。土方にも仕事があるから、午後、とか午前とか時間指定はあるけれど...
それでもほぼ毎日会えるのは恋人である俺にはすごく嬉しいことである。

「まだ10時かぁ、早く午後になんねーかなぁ」

今日は新八も神楽もいないので一人静かな部屋でゴロゴロとする。
取り敢えず甘味でも食べに行こうかな、と起き上がるとタイミングよくチャイムが鳴った。

「はいはいはーい?」

玄関に向かって歩き出ようとすると扉を蹴り破られる

どぉんっと凄まじい音がして目を見開く
倒れたドアの奥にいたのは見慣れた黒い服装の彼ら。


真選組。


「 御用改めである。 坂田銀時、お前は白夜叉だな?
天人多数殺害容疑で逮捕する !! 」



ど真ん中に立っていた土方がそう叫ぶ。


どういうことだろうか
なんで土方がそれを知ってるの?
俺が捕まったらもう会えなくなっちゃうよ?


「ひ、じかた......」

「無駄口を叩くな。この万事屋は完全包囲されている。
大人しく俺たちについて来い。」


いつも俺の頭を優しく撫でてくれる手、
いつも俺の体を愛おしく抱きしめてくれる手、


その手は随分荒く、強かった。


「ったい...土方痛い!!」


「うるせえ!! 早く来い!」


「待って!! なんで!? 土方俺たち付き合ってるだろ!?」


離れたくないの
逮捕なんてしないで
俺の過去を受け止めて

言ってくれたよね?
俺の過去も全て愛してくれるって


「まさかお前が白夜叉なんてな。 なんで俺はこんな化物と付き合ってんだか。
今日でさよならだ。 早く来い!」

今日でさよなら....


やだよ、
聞きたくない
俺は化物なんかじゃない
土方がいないと生きてく意味ないよ




それから俺は屯所の近くの牢屋に入れられた。
それから何日も何日も経った。
俺は土方のことが忘れられなくて、
別れたことを受け入れたくなくて、
きっと今我慢すればいつかここから出てまた土方に愛してくれると思っていた。
けれど、幾日たっても牢屋から出れることはなく、
あっという間に半年経ってしまった。

たまに土方がご飯を出しに来てくれるけど汚いものを見るような目で届ける。
最後には「死ね」や「汚い」、「鬼」「化物」など罵声をかけられる様に。


それが精神的に来てしまい、もう2週間ほどご飯を口に入れてない。
日に日にやせ細っていく体。
一応、水は飲んでいるが、もう体が動かなくて飲めない。
視界がぼやける。
噫、俺もう死ぬのかも。 遠くで客観的に考えた。


あのね、土方。
俺、ここから出たら土方と遊園地行きたい。
甘い物いっぱい食べて、沢山乗り物乗って、
土方と甘いひと時を沢山過ごしたい。
だって半年も土方にあってないから。寂しくて死にそう。
もう死にかけてるけど。
あのね、土方...........









アイシテル。












******************



今日は朝から銀時の見張り当番だった。
銀時の見張りは久しぶりである。
複雑な気持ちで牢屋までの道を歩く。

白夜叉が愛おしい恋人とは思いもしなかった。
総悟から聞いた時のショック度はかなりでかかったが、
愛おしい恋人を守りたいから俺は近藤さんのところへいって頭を下げた。
どうか、銀時を逮捕しないでほしいと。

だが、近藤さんは小さく首をふった。

「これは上からの命令であり、俺たちの宿命でもある。
お前が万事屋と付き合っていることは知っている。お前が万事屋を逮捕するのが嫌な気持ちは百も承知。
だけど、今このまま万事屋をほっといたら殺される可能性がある。
住人に被害を加えるかもしれないからだ。 だから、今は我慢して...
別れて欲しい。万事屋と。今は辛いかもしれないが、万事屋が開放されるとき、また付き合えばいいだろう?
まぁ、白夜叉を捕まえるときは上の見張りがあるため、お前が万事屋と付き合っていることを悟られては困る。この意味がわかるな?」

ぐっと下唇を噛み締める。
今、俺が我慢すれば将来、幸せになれる..


それを信じて俺は近藤さんの言葉に頷いた。





今日、銀時は開放される。
上からの命令が出た。 それを伝えるために行くのだが...
今まで冷たくあしらったので銀時に会うのが気まずい....

牢屋の前につったって深く深呼吸する。

【銀時、やり直そう。 俺はやっぱりお前が好きだ。
今までのは演技で俺たちはまた幸せになれるんだ。】

心の中で言う言葉を整理して牢屋の扉をあけた。



「ぎん、とき...」


牢屋の中にいたのは 恐ろしいくらいにやせ細って倒れている銀時の姿だった。
「銀時!」

俺は慌てて牢屋の鍵を開ける。
中に入り銀時を抱き上げると小学1年生ぐらいの軽さで吃驚した。
いくら声をかけてもピクリとも動かない。
そっと銀時の口元に手をかざすが、

息をしていなかった。



銀時は死んでしまったんだ。
理由はストレス、俺との別れ....主はご飯を食べていなかったこと。





もっと違う愛し方はなかったのだろうか?





銀時、










アイシテル。











****************



おうふ、なんだこれは。
終わり方ワロタ。




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