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◇ろくでなし

はあぁ。俺ってエロいし、変態だったんだな。

宍戸さんと付き合うまで、そんなことないと思ってた。
なのに最近、気がついたら宍戸さんの「腰からふとももにかけてのライン」を、じーっと眺めてしまっている。

部活中なのに……本人にばれたら殺されるよ。

というか、宍戸さんのカラダはどこも魅力的すぎなんだ(で、今はその腰の辺りがキてるってわけで)忘れようとしたって飽きさせてくれない。
ほんと、あの腰の括れはやばい。身長の割に細くて…触るといい感じにキュッと引き締まってる。
そして、宍戸さんは脇腹を撫でられると気持ち良さそうにするんだ。きれいなだけじゃなくて敏感なところが可愛くて堪らない。だからってそこばかり愛撫してると「しつこい!」って怒られるけど。涙を浮かべて、目元を赤くしてね…。ああもう、あれはマジやばい。

ほっそりした腰から視線を下げていくと、小さめな、お尻のふくらみ。
宍戸さんのカラダはどこも最小限の肉がついて、しなやかなところが魅力だ。でもここだけ柔らかくて、また別に好き。
俺はよくキスしながら撫でるけど、宍戸さんは決まって嫌そうな顔をする。でも半分は、いやだいたいが恥ずかしがってるだけだから、ちょっと強引に続けるんだ。じゃないともっとデリケートなとこに進めないから、っていうのは勝手な俺のルールなんだけど。
でも宍戸さんも、これでけっこう緊張解れてきたりするんだよ。

ああ、ホントに可愛いよなぁ。年上で、気が強くて、同じ男なのに。

シてる時の「ちょうたろう」って甘えた声……



「長太郎!」

「…っはい!!」

怒声に近い声をあげて、宍戸さんがこっちへ走ってくる。
あ、あれ。一年の指導をしていたのに。
呼ばれたのは俺だというのに、向こうの集団がびくびく縮こまっているのが見えた。

「長太郎」
「は、はい…」
「校舎周り、走ってこい」
「…すみませんっ」

集中してないのがばれたらしい。咄嗟に謝ると、宍戸さんが顔を近づけてきた。

「おまえ、体調悪いの?」
「え」
「いや…熱あるっぽい顔でこっち見てた気がして。風邪か?」
「……」
「俺には正直に言えよ」

言いながら頬を手の平に包み込まれて、俺は恥ずかしさと胸の高鳴りを感じた。

「…本当にごめんなさい…」
「え?あ、おい、長太郎」

手を解き、俺は走り出した。
背中に宍戸さんの心配そうな視線が刺さる。


はあぁ。俺ってエロいし、変態だし、ろくでなしだ。

ほんのちょっと、指が触れただけで。

校舎一周で興奮は冷めてくれるかな…。


2011/02/09