すくーる・わーるど










(tomesaburou side)



「まったく、小平太の奴…、また考えなしに塹壕を掘りまくりやがって…!」



黙々と塹壕を埋めていると、畝のように地面が盛り上がり、それがまるで蛇のように目の前を横切っていく。また同学年の体育委員長だろうと、その進路に仁王立ちした。



「こぅらぁあ!!小平太っ!!」



怒鳴ると、地中を進行していたそれは停止し、地面から顔を出した。しかし、出てきたのは見慣れた体育委員長ではなく、同じ顔が三つ。



「………なんだ、お前たち」



思わずしゃがんで問いかけてしまった。しかし、3つの顔の茶色のそれは「ダグダグ」と奇妙な声で鳴いているだけである。

奇妙な鳴き声のその生物はいきなり泥の弾を吐きつけてきた。意外と勢いのあるそれをかわし、鉄双節棍を構える。



「いきなりなにしやがっ!??」



突然、地面が動き、砂が足をからめとり、吸い込んでいく。

くっ!抜け出せねえっ…!!





「マリル!ハイドロポンプ!」

砂が腰の当たりまで達した時、大量の水が激しい勢いで地面から顔を出している茶色に飛んでいく。水の攻撃の元をたどると、異世界から来たというナナミと名乗る女と奴が従えるぽけもん?が険しい顔で立っていた。青く丸いのと黒い鬣のと薄い紫の毛を持つ四つ足のポケモンだ。まりる?というらしい丸っこい生き物の攻撃は3つ子の茶色に命中し、3つ子の顔つきが変わる。



「やっと見つけた!もう逃がさないから、ダグトリオ!」

「ダグダグ!」

「エーフィ、その子をサイコキネシスで砂地獄から出してあげて!」



えーふぃ、という名のポケモンの瞳が光ると体がふわりと浮いた。驚いたが、暴れるなといわんばかりに体の動きを制限される。そして、そのまま地面に降ろされた。

ナナミという女はマリル以外のポケモンを戻し、「吹雪!」と叫ぶ。

だが、その攻撃はだぐとりお、というらしいポケモンの3本の光線によってかき消された。次の瞬間、地面がぐらりと揺れた。揺れはそれほど大きくはないが、これでは攻撃の焦点を定められないだろう。

「な、なんだっ!?地震かっ!!?」

「これは、マグニチュードっ…」

「り、りる…」

「マリル!ジャンプして空中へ!そこからハイドロポンプ!!」

「りぃるぅぅうううー!!!」



ダグトリオはマリルの攻撃を地面に潜ってかわす。顔を出したダグトリオは「ダグダグ」とまた鳴いている。今度は馬鹿にしたように笑っていた。

俺は、ナナミの方を見る。







奴は、不敵に笑って拳を鳴らしていた。





「レントラーの透視能力とマリルの聴力を使って、学校中走り回ってやっと見つけたんだから!!絶対に捕まえてやる!!!」









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