すくーる・わーるど 倉庫から出てきたブラッキーのわっか模様が光る。ブラッキーが悪の波導を放つ。 「ルカリオ!メタルクローで防いで!!」 悪の波導が防がれると、今度は全身に力を溜めている。あれは、ギガインパクトの構えだ。 ギガインパクトは使用後に瀕死のデメリットがある大爆発や自爆を除くとノーマルタイプ物理技の中では最も威力が高いが、行動を封じられるデメリットは痛い。これはいよいよなりふり構ってられなくなったか。 「ねえ、ブラッキー!落ち着いて!!私たちは貴方と戦いたいわけじゃ、」 「ぶらっ!!」 ブラッキーはオーラを纏って真っすぐつき進んでくる。ルカリオに波導弾を指示するが、ブラッキーはそれをものともせず跳ねのける。技を放ったルカリオを通りすぎ、その真っ赤な瞳には間抜けな顔をした私が移っていた。 「…えっ」 『主!!』 「ブー、スタッ!!!」 ぱっかん、と軽快な音がした。私の腰に付いているボールから飛び出したブースターはブラッキーの前に立ちはだかる。 突然現れたブースターにブラッキーは動きを止めた。そしてなんだか、二人で言い争っているような。 『主!!ご無事ですか!!!』 「うん、私は平気。それより、ブラッキーとブースターなんて言ってるかわかる?」 『…今までどこに行ってたんだ!!どれだけ心配したと思ってる!!必死で探して見つけてみれば、人間なんかの手持ちになってっ!!!…わかんないよっ気が付いたらココに居たんだ!!心配かけたのは悪かったけど、兄さんは過保護すぎなんだ!!人間なんかって何さ!!ナナミはいい人だもんっナナミのこと、悪く言わないでっ!!…大体このような内容ですね』 「…うん。つまり、あのブラッキーはブースターのお兄さんで、探し出してやっと見つけたと思ったら人間の手持ちになっていたから、連れ戻そうとしたと」 『これで、突然攻撃してきた理由が分かりましたね』 ********** (lucario side) ブースターとブラッキーは未だに言い争っている。 「人間なんて碌なもんじゃないっ!!さあ、いつまでも、こんなところにいないでさっさと帰るぞ!!」 「あの人が僕たちを手放したのは兄さんが過保護すぎたからだよっ!!大体、帰るってどこにさ!?」 「つべこべ言うなっ!!俺はお前のためを思って言ってるんだ!!」 「僕はもう小さな子供じゃないんだよっ!!兄さんの愛は重すぎるよっ!!」 ブースターの言葉は効果抜群だったようだ。 「…なんか、ブラッキーが真っ白になってるけど」 「お気になさらないでください、主」 破壊光線並みの威力だったかもしれない。取りあえず、主は完全に固まてしまっているブラッキーをボールに収めた。 「一体何だったんだ…?」 「さ、さあ…?」 「とりあえず、ブラッキーがすっごいブラコンだってことは分かった」 「お前も大変だな、ブースター」 「…はあ」 ブースターのため息はやけに重かった。 |