すくーる・わーるど












「グルルっ…!」
「ご、ごめんって、トリミアン!」



学園に迷い込んでいたところを保護し、先ほどゲットとしたトリミアン。

ゲットするまでは割とおとなしく、今までになく順調にいったのだが、問題はそのあとだった。どうやらこの子はトリミングしてほしくて、大人しくゲットされてくれたようだが、いかんせん相手が悪かった。



『主はバトルスタイルは器用でいらっしゃるのに、手先は全く器用ではありませんね』
「…ひどい言われようだ」
『見るも無残とはこのことですね』
「………人間向き不向きってものがあるよね!」
『トリミアンはそれで許してはくれないでしょう』
「!?えっ、ちょっ、トリミアン!すとっ、ぐふっ!!」



ルカリオに視線で促されてトリミアンの方を見ると、頭から突っ込んで、私の腹部に見事な頭突きが決まった。効果は抜群だ!



『「ひどい!詐欺だ!」とトリミアンが訴えておりますが』
「…いや、詐欺も何も私、プロのトリマーじゃないし」



怒り心頭のトリミアンにはそんな言い訳も通じない。

そうは言っても私は自他ともに認める不器用でトリミングどころか料理もまともにできないというのに。むしろ、私にしては頑張った方だ。

さて、どうしたものか。



空が青いな〜、と呑気なことを考えながら地面に大の字になると「あれ〜、こんなところでどうしたの〜?」と金糸が揺れた。


















「いや〜、助かりました」



ちょきちょきと小気味よくトリミアンにはさみを入れている少年は「お安い御用だよ〜」と朗らかに笑った。



「僕、斉藤タカ丸。君の名前は〜?」
「あ、ナナミです」
「へ〜、ナナミちゃんって言うんだ。可愛い名前だね〜」



そう言って、タカ丸君はトリミアンのふわふわの毛並みを嬉しそうに撫でた。



「あ、ごめん、ナナミってのは私の名前。その子はトリミアンって言います」



…背後にいるルカリオの視線が痛い。



「それにしても、きれいな毛並みだね〜。土井先生と竹谷君にも見習ってほしいよ」



サラッと流した…!?

褒められてうれしかったのか、トリミアンは自慢げに「わんっ!」と鳴いた。



「トリミアンに比べてナナミちゃんの髪は手入れが行き届いてないね〜。毛先が痛んでるよ〜」
「こっちに飛び火した…!?」










「ねえ、いい加減ボールに戻ってよトリミアン」
「あんあんっ!」
『嫌だと言っております』
「あはは、すっかり懐かれちゃった〜」











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