すくーる・わーるど










草木も眠る新月の夜。ペロリームが鼻をひくひくさせ、マリルの耳が揺れ、レントラーの金色の瞳が光る。



「来たんだね」



私の問いに、ポケモンたちはこくんと一つ頷いた。ペロリームとマリルをボールに戻し、レントラーの体にまたがると、彼はタタッと華麗に塀を飛び越え、忍術学園の門の前に立つ。敵は堂々と正面から来たらしい。レントラーから降り、彼をボールに戻す。そして、リザードンとエーフィのボールを放る。

二匹は闇夜に向かって、低く唸る。ペンライトを向けると、闇にうごめいていた影があらわになる。



「アリアドスっていうのは予想通りだけど、こんなに数が多いとは…。二人とも大丈夫?」

「グォ!」

「エーフィ!」



アリアドスは20体近くいる。前列にいる数体が、糸を吐いて攻撃してきた。



「リザードン、火炎放射!」



糸は、リザードンの炎でこちらに届く前に焼き尽くされた。それを皮切りにアリアドスたちは、毒づき、ミサイル針、乱れひっかき、クロスポイズンと様々な技で攻撃してきた。





「リザードンは火炎放射!エーフィはサイコキネシス!逃がしちゃだめだよ!」



空のモンスターボール、20個も入れてきたかな…?

若干不安になりながら、私はモンスターボールを構えた。










**********










(sennzou side)



「なんなんだ、あの巨大な蜘蛛の大群は」

「わからん。だが、我々に危害を加えようとしているのは確かのようだな」



塀の上から門前の様子をうかがっていた文次郎は、目の前の状況が信じられないというようにつぶやいた。正直、私も同意見だ。赤と黒の胴体、黄色と紫色の足という毒々しい姿。それだけではなく、頭には角があり、一年生より少し小さいくらいの大きさだ。



「とにかく、あの化け蜘蛛を排除するぞ。虫なのだから、燃やせば良いだろう」



あの女も、有翼のトカゲのような生き物(たしか、リザードンと言っていた)の口から炎を吐くように指示を出しているようだ。私は懐の焙烙火矢に手を伸ばしながら、塀から身を乗り出した。



ぞわり。



突然の殺気に思わず飛びのくと、私たちが居た場所に犬に似た頭の獣人のような生き物がいた。隣を見ると、文次郎も袋槍を構えている。確か、あの女はルカリオ、と呼んでいた。



『お待ちください』



頭の中に声が響く。こいつがしているのか。動揺を悟られないように、努めて冷静な声を出す。



「突然襲ってくるとは随分躾がなってない犬だな」

『そちらの彼も私の主にいきなり刃物を向けてきました。お互い様でしょう』



そちらの彼、とルカリオとかいう生き物は文次郎を指さした。そういえば、あの女が学園に侵入したとき、最初に見つけたのは文次郎だったはずだ。その時のことを言っているのだろう。この生き物は、主人に忠実らしい。



「私たちの学園は私たちが守る」

『ポケモンたちを殺そうとしている輩を黙って見過ごすわけにはいきません』

「あの女も蜘蛛たちを攻撃しているではないか」

「主がしていることと、貴方方がしようとしていることは全く違います。余計な手出しはしないでいただきたい」


















「足止めありがとね、ルカリオ。こっち終わったよ…って、なんで波導弾の構えなの!?」

『お疲れ様です主。アリアドスたちを出してください。癒しの波導で少し回復させましょう』

「う、うん。ありがとう…。っていうか、強引に話題そらしたね」







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