すくーる・わーるど










麗らかな陽気の午後。絶好の旅日和だというのに私はのんびりと門前の掃き掃除をしていた。



「…退屈」

『ご自分で言い出したことなのですから文句を言わないでください』

「そうだけど、しょうがないじゃん。ここから出してくれないんだから、他にすることがないんだよ」



何故私がこんなことをしているのかと言えば、学園長さんに引き留められたからだ。「本当にお世話になりました。私たちはこれで…」「いやいや、お前さんたちはこの世界ではとても奇異な存在じゃ。ここを出て行けば何かと生きにくかろう。ここに居れば良い」「お気づかいはありがたいですが、迷子になっているポケモンたちを探しに行かないといけませんし、いつまでもお世話になっているわけには…。旅には慣れていますから、どうかお気遣いなく」「それならばなおのことじゃ。これから先お主の持つぽけもん?とやらは増えるのじゃろう?養わなければならない者が増えるというのにこれから先、寝食できる場所がないというのは何かと困るのではないか?それに、この世界はお主が思っている以上に生きにくい。ポケモン探しとやらはここを拠点にすればよかろう」という感じで、結局私はこの忍術学園に居候することになった。丸め込まれ感が否めない。

ここを拠点にポケモン探しをすればいい、という言葉とは裏腹に不用意に出歩かないようにと強く言われてしまった。言ってることがいきなり違っていた。はあ、とため息をつくと元気な声が聞こえてきた。学園の正門についている小さな扉が開く瞬間にルカリオはモンスターボールに戻った。



「とうちゃ〜く!」

「はあ〜、やっと着いたぜ」

「ナナミさん、ただいまー!」

「乱太郎くんにきり丸くん、しんべヱくん。お帰り」



籠を背負った3人組が門についている小さな扉をくぐって、両手をVの字に広げてポーズをとった。可愛い。



「今日はどこに行ってたの?」

「裏々山に山菜採りに行ってきました」

「おばちゃんに料理してもらうんです!今日の夕飯、楽しみだなあ〜」

「余った分は、山菜を混ぜ込んだおにぎりにしてもらう約束なんです。それを町で売れば、…あひゃあひゃあひゃ!!」

「きり丸くん、目が銭になってる。しんべヱくんはとりあえず涎ふこうか」

「ナナミさん、きり丸としんべヱの扱い、随分慣れてきましたね」

「まだ、君たちと知り合って数日しかたってないけどね。あれ?乱太郎くん、背中に何かついているよ」

「えっ?なんですか?」



乱太郎くんは自分の背中を見ようと顔を後ろに向けるが、見ることができなくてその場でくるくる回るという事態に陥っている。

彼の動きに合わせてひらひらと揺れるそれをつまんでみると、細くも丈夫そうな白い糸だった。



「これ、何ですか?糸くずみたいですけど」

「さあ。それより、早く食堂に行っといで」

「あ、そうだ!早くおばちゃんのところに行って、料理を作ってもらわなきゃ」

「乱太郎、早く行こうよ〜」

「あ、うん。それじゃ、ナナミさん、また」

「またね〜」







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