うぇるかむ・わーるど










私たちは別の世界にやって来たという事を理解して、それを学園長さんにも説明した。学園長さんは思いのほかあっさり信じてくれた。私の服装や聞いたことのない地名、見たことの機械、何より未知の生物であるポケモンという存在が根拠らしい。

というか、学園長さんはポケモンに興味津々だった。キラキラと好奇心に満ちた目で私の後ろで姿勢正しく正座しているルカリオを見つめている。



「そのポケモンとやらに触らせてもらっても良いかの?」

「えっ、ああー、えっと……」



さて、困った。

今、モンスターボールから出しているルカリオは見ず知らずの人間に触れられるのがあまり好きではない。ルカリオに限らず、私のポケモンたちは、ちょっと気性が激しかったり、プライドが高かったり、敏感だったりする。ポケモンによっては頬とか尻尾とか、無遠慮に触れられると反射的に放電したり火や水を吐いたり、殴ったり蹴ったりする子がいる。学園長さんはポケモンに慣れてない。怖がってはいないようだが、好奇心が抑えきれてない。以前、トレーナースクールに通う子供たちにポケモンを見せることがあったのだが、加減を知らない子供たちはポケモンを驚かせてしまって技を食らったのだ。ルカリオによると、先ほどの少年たちが天井裏で見張っているらしい。事故とはいえそんなことになったら確実に私とポケモンたちの首が飛ぶ。それは絶対に避けなければならない。

そうなると、この子が適任だろう。



「おいで、ペロリーム」

「ぺろーん」



ボールから出てきたペロリームは、キョロキョロと辺りを見渡してコテンと首を傾げた。見慣れない場所だから、不思議なのだろうか。



「…おお…!こ、これがポケモン…、」



ペロリームは学園長さんの方へ歩み寄ってぺこっと頭を下げた。学園長さんは瞳をキラキラさせてペロリームの頭を撫でている。デレデレである。ペロリームは天井に向かって「ぺろーん」と片手をあげてから同じように頭を下げた。見えなくても匂いでわかるという事か。

ふと、ペロリームが鼻をひくひくさせながら戸の方へ歩み寄る。



「ぺろ…!」

「どうしたの?ペロリーム」

「ぺろ、ぺろぺろ、ぺろーん!!」

『焦げ臭いと言ってます』

「まさか、火事!?」



ペロリームはぴょんっと庭に下りる。私とルカリオもその後に続いた。ペロリームに案内されてやって来た場所は広い敷地内の隅にある倉庫だった。かなり大きいが随分古い。その倉庫が炎々と燃えている。この学園の人たちが消火活動をしているが、あれでは焼け石に水である。私は二つのモンスターボールを高く放った。一瞬の閃光と共に、青くて丸いボディを持つポケモンと薄紫色の体毛を持つしなやかな体躯のポケモンが現れる。



「マリル!ハイドロポンプ!エーフィはサイコキネシス!」





順調に消火活動が進む中、突然ポーチの中から一筋の閃光が放たれた。出てきたのは黒い鬣と丸い耳をもつ四足歩行のポケモン、レントラーである。その鋭い瞳が金色に光った。



「なに?レントラー、何が見えたの?」

『どうやら中に逃げ遅れた者がいるようです』





















バキッ!バリバリ!!ガラガラ!!!と何かが崩れるような音が響く。










『建物が崩れてしまいましたね。老朽化が進んでいたようですし、ハイドロポンプの水圧に耐えられなかったのでしょう』





「マ、マママリル!勢いを抑えてッ!!エーフィはサイコキネシス全開!大急ぎで瓦礫を退けてぇぇえええ!!!」









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