可憐な非日常 | ナノ




「椎名棗です。本日から忍術学園のお手伝いさんとして働くことになりました。よろしくお願いします」

「同じく早蕨春です。よろしくおねがいしまーす」



壇上に上がって形式通りの自己紹介をする。

"自己紹介"だが、自分たちの素性をそのまま話すわけにもいかないこの状況では当然こうなる。簡潔にまとまるのは良いが、自分でも思う。愛想のかけらもないな、と。

明らかにやる気ありません、といった様子の春よりはましだと思うが。



「うぉっほん!今日はわざわざお手伝いさんを紹介するためだけに皆を集めたわけではない!!彼らは異世界から来たようなんじゃ!しかも、特殊な能力を持っておる!!」



ぇえ?!言っちゃうの!?それ言っちゃうの!!?



ざわざわ。がやがや。

途端に騒がしくなる生徒たち。皆の視線が一気に突き刺さる。



なんでわざわざ混乱を招くようなことを言っちゃうの!?





大川さんは言うだけ言って煙とともに消えた。いや、視界が悪い中でごほごほ言ってるのが聞こえるから正確には消えてない。見えないだけだ。



忍たまたちからの視線が痛い。半端ない。どうしてくれよう、この状況…。



「………とりあえず、降りるか」

「…そうだね」




壇上からおりて一息つく。

不安しかない。これから大丈夫だろうか…。












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