可憐な非日常 | ナノ

※少々グロい表現含みます


濃い土の匂いで目が覚めた。

見渡すと薄暗い洞窟の中にいるようだ。左側は洞窟の出口でどうやら人気のない森の中らしい。

身じろぎするとどうも動きにくい。見ると手足が縄で縛られている。



私、何でこんなとこに………あ、そっか、声をかけられて、いきなり背後から襲われて…。



透視と接触感応を使ってみるが何も読み取れない。

うそ…、え、何で……。いや、落ち着け…。



精神感応で春に助けを求めるが反応が返ってこない。精神感応能力の範囲外なんだろうか。

確か、私の監視ときり丸君の護衛で近くに忍たまの子たちが居るはず。

近くにいる忍たまの子たちにもねんのため思念を送ってみるが、同じだった。



げ、マジで…。










一時的なものだろうが超能力が使えなくなっている。



そういや最近超能力を頻繁に使ってたっけ…。この頃頭もチリチリ痛かったし、それが兆候だったのかも…。





精神感応は脳にかかる負担が大きい。だから、定期的に糖分をきちんと補給すること。

賢木先生に耳にタコができるほど聞かされてたのに。



忍術学園の人たちとの円滑な意思疎通は会話だけでは成り立たないので、精神感応や接触感応を使って彼らの思考を読みとっていた。それに、ジュンコちゃんや九エ門君とのおしゃべりが楽しくて、暇を見つけては彼らと話していた。

学園内は罠だらけだし、余計なトラブルを避けるために忍たまたちとは遭遇しないようにしていた。それは勿論超能力を使ってだ。ここ最近、頻繁にそれも継続的に使っていたせいで、脳が一時的にショートしてしまったのだろう。

よくよく思い出してみれば、この世界に来てから食事の量も減っていたような気がする。ただでさえ、高超度の超能力を複数持つ私は脳に栄養と酸素をしっかり送らなければならないというのに。



私、思ってたよりストレス感じてんだな…



春がいなかったら多分もっと…。





いや、後ろ向きなことを考えている場合ではない。外へ助けを求めることは不可能。監視の彼らも助けてくれる気配はない。となれば、自分で何とかしなくては。

懐にはあったはずの私の武器は抜き取られていた。私を攫ったやつがどこかへ捨てたのかもしれない。まあ、持ち物を奪われていなかったとしてもあの中に縄を切れるものなんてなかったけど。でも、愛用の特殊警棒。あれだけは取り返さなくては。



洞窟の中を見渡すと奥の方から何かが腐ったようなにおいがする。



これは、肉?魚?でもそれにしては形が………!



ゆっくりと近づくとそこに転がっているのは人間の死体だった。

上の方の死体は比較的綺麗だが、下の方にある死体はほとんどと白骨化している。

肉が腐り落ち、ウジ虫が餌を求めて大量に張っている。

服装からしてどれも女性のようだが、年齢は比較的幼い。下の方にある死体はもう年齢の判別すら不可能だが、山になっている死体の女性たちは恐らく10歳〜15歳くらい。

近づくと腐敗臭が鼻をつく。口と鼻を覆いたいところだが、後ろ手に縛られている状態ではそれも出来ない。

最も最近死んだとみられる遺体は着物がはだけ、胸元と下半身があらわになっている。



そう言えば、あの男の思念と記憶が…。










「おや、目が覚めたんですね」









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