可憐な非日常 | ナノ

「よし、検査ではどこも異常なしだ。しっかし、また派手にやったなー」



…先生、気づいて



「まったくだ!!あれほど穏便に解決しろと言っただろ!町を破壊するな!!」



皆本さん、私の声が聞こえないの



「いいじゃん、犯人は捕まえたんだしさ」

「結果オーライやって」

「そうそう」



薫ちゃん、葵ちゃん、紫穂ちゃんっ!!



「良くないわっ!!僕や局長がどれだけ苦労すると思って…」

「もうお前がチルドレンに振り回されるのは定めだな。諦めろ」



みんなっ



気づいてよっ!!



返事してっ!



…っせんせい






「賢木先生っ!!!」



飛び起きると、私は古い日本家屋のような部屋にいた。

数秒して、今の自分の状況を思い出す。



そうだ、今、私は別の世界にいるんだっけ…。


はあ、とため息をついて布団から出る。



「帰れるのかな、私…」



マイナスに行きかけた思考を頭を振って振り払う。そう言うことは考えないようにしよう。





「よく眠れたかしら?」



戸がすっと開いて、大人っぽいソプラノボイスに視線を遣ると黒い忍び装束を着た女性が立っていた。



「朝食を持ってきたわ。それと、こっちは着替えよ。昨夜はお風呂に入っていないでしょう?食べ終わったら案内するわ」

「…」

「どうしたの?不思議そうな顔をして」

「…いえ、監禁する人間は人道的な扱いはされないだろうと思っていたので、少し意外で」



朝食のおにぎりに手を伸ばしながらそう言うとお姉さんは「あら、監禁なんて人聞きが悪いわ」と笑った。



「昨夜、貴方を見張っていたけれど特に不審な動きはなかった。それどころか、普通に布団に入って寝ていたようだったもの。それに、今も」

「今?」



やっぱり、監視されてたんだ…。気にしないようにして寝たけど、正直寝顔を見られるのはあんまりいい気はしないんだよね…。

そんなことを考えながら、おにぎりを口に運ぶ。



「私が持ってきた食事をなんの躊躇もなく口にしているわ。普通は何か入っているんじゃないかと疑うものよ」

「毒とかね」とお姉さんは物騒なことを続ける。



……そうか…私は触れば分かるけど、普通はそう言うことを警戒するよね…。



「敵陣でぐっすり眠ったり、与えられた食べ物を口にしたり、貴方の行動は忍者のものとは思えないわ。それに、貴方の服や髪形も、現代のものにしてはとても異様だもの。そのことを踏まえて、貴方は危険ではないと判断したの。少なくとも、私はね」

と、女性はぱちっとウインクする。美人がすると殊更絵になる。



「個人的に貴方とは仲良くなりたいとも思っているしね」

「はあ…それはまた、いったいどうして?」

「昨日の貴方の勇ましい行動よ。私、貴方みたいな威勢の良い女の子は嫌いじゃないもの」



昨日の、と言われて自分の行動を思い返す。

そういえば、公衆の面前で裸になろうとしたんだっけ…やっぱり、あれはまずかったかな…。



若干反省をしていた私にお姉さんは手を差し伸べた。



「と言うわけで、これから仲良くしましょ。分からないことがあれば何でも聞いてちょうだい」

「はい。では、お言葉に甘えて早速お尋ねしても良いですか?」

「何かしら?」

「お姉さんのお名前は?」





そして私は山本シナさんと仲良くなりました、まる









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