可憐な非日常 | ナノ

(sennzou side)



「やっと来たか文次郎、遅いぞ」

「ああ、悪い」



今宵はあの別世界から来たという男女について話し合うべく、私たちの部屋に六年生が集まった。




「では、早速本題に入ろう。お前たちはあの連中をどう思う」

「正直、俺は危険だと思う」



真っ先に答えたのは留三郎だった。なんでも、医務室で川西があの女を疑ってかかった時、川西を軽くあしらったという。



「それは川西が棗に食ってかかったからだろう。私はあいつは良い奴だと思うぞ」

「何言ってんだよ、小平太!」

「今日、委員会で三之助が迷子になった時、棗は見事にあいつの居場所を突き止めた。三之助は怪我をしていたんだが、その手当ても完璧だった。伊作に確認してもらったから間違いない」



それに、あいつの身体、とても忍びのものとは思えないんだよなー。多少鍛えてはいるようだけど、筋肉が圧倒的に少ないし、腕も腰も細いし、その割には胸とか尻とか肉付きが良くて、手足は白いし古傷一つないんだ、あれでくノ一なんて言われてもそっちの方が信じられないぞ、と小平太は続ける。

腰が細いだの肉付きが良いだのいつ確認したんだという突っ込みはさておき、小平太の言葉に伊作が頷く。

文次郎、留三郎、頬を赤らめるな。気持ち悪いぞ。



「確かに処置の仕方は完璧だった。彼女の超能力というモノが本当なら、忍術学園にとって有益なものだと思うよ」

「おい、伊作!」

「俺も伊作に同感だ」

「文次郎!?」

「ほう、お前がそんなことを言うとはな。長次はどうだ」

「…」

「忍術学園一忍者していると言われるお前が何言ってんだよ!あの女にほだされたのか!いつも三禁三禁うるさいくせにっ!!」

「うるさい!!使えるものは何でも使うのが忍者だ!あの女は利用できると判断したまでだ!」



喋り出そうとした長次の声が文次郎と留三郎の言い合いによって遮られる。こんな夜中に大声を上げるんじゃない。

長次の縄標が文字通り、2人の間に割って入る。



「うるさいぞ、お前たち。あいつらに気づかれたらどうする。長次、続けてくれ」

「………雷蔵に、聞いただけだから詳しいことは分からない。だが、動物と話しているようだったと」

「そういえば、前の報告会で竹谷が言ってたね」



伊作の言葉にこくんと長次がうなずく。



「…人の心も読めると」

「ふむ、やはりそうか」

「どういうことだい?仙蔵」

「昼間、あの女と話した時に私はあいつらの言い分を信じると言ったのだ」

「仙蔵?!正気か!?」

「最後までは聞け、留三郎。それで試したのだ、本当に人の心が読めるかどうか。見事に奴は私がその時考えていたことを言ってのけた。それまでの言動からうすうすそうではないか、と思っていたが、その時、確信に変わったのだ」

「…しかし、彼らが敵に回るのは厄介」

「長次の言う通りだ。あの早蕨という男は"化け物"という単語に異常に敏感になっている。というか、人外のように扱われることに憤りを覚えるのだろう。それを椎名が抑えているように見えるが、奴はそういう扱いを受けることに慣れているからいちいち反応しないだけだろう」

「というより、諦めているように見えるよね」

「そうだな、その言い方の方が正しい。とにかく、こちらから危害を加えない限りは奴らも何もしてこないようだ。奴らにとって、この忍術学園が元の世界に帰るための唯一の手掛かりならば、ここを出ていく理由はまずあるまい」

「なら、奴らがもし、この学園にとって不利益になるようなら、」



私は一つ頷いて留三郎の言葉を引き継いだ。
















「始末する」














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