一度安全な場所へ、ということで桂木さんと海司がやってきて私たちは警察署へと移動した。
部屋の中から、白斗さん・・・と恋人さんが話している声が聞こえる。
どうしよう、私を助けたせいで怪我しちゃったんだよね・・・。ノックをして「入ってもいいですか」と声をかけると中から大丈夫です、と返ってくる。
ゆっくりドアを開けて中に入る。
「あの・・・怪我は・・・」
「一応診てもらいましたけど・・・ただのかすり傷です。気にしないでください」
それから、啓一郎は心配しすぎなのよ、と呆れた顔をする。
「お前は無茶しすぎだ」
やりとりが何だか微笑ましくて、思わず笑ってしまう。と、そこに昴さんがやってくる。
「彼女は総理大臣の令嬢だ。警護責任者は今事件の後処理で来られないが、代わりに礼を言わせてもらいたい」
総理大臣の娘、と聞いた瞬間に、白斗さんの顔が引きつり、マジかよ・・・という呟きが聞こえた・・・気がした。
「白斗・・・お前知らなかったのか」
「いや、だって私・・・テレビ全然見ないし・・・っていうか部屋にテレビないし・・・」
・・・知らないのに助けてくれたんだ。
「とりあえず簡単に話だけは聞かせてもらうとするか」
いつもの調子に戻った昴さんが、啓一郎さん・・・というらしい白斗さんの恋人さんの向かいにある椅子に座る。
「何か身分証明出来るもんあるか?」
「身分証明・・・」
白斗さんはバッグの中を探り始める。
「あ、学生証入ってた」
どうぞ、と白斗さんは昴さんに学生証を手渡す。昴さんが受け取ったそれを、覗き込む。
「・・・・・・高校、生?」
神蘭学園の・・・3年生・・・らしい。大分前に聞いたことがあるだけだけど、あそこって確か男子校だったような・・・共学になったのかな。
「高校生!?」
思わず大声を出してしまう。白斗さんがびくっとする。
と、年下・・・?白斗さん・・・じゃなくて白斗ちゃん・・・?
「何だろう・・・この・・・」
「あの、どうかしましたか?」
怪訝そうな顔で白斗ちゃんが私を見る。
「な、何でもないです」
凄く堂々とした子だなぁ・・・。本当に高校生なのかな。
「お前、本当に高校生か?」
昴さんも同じ事を思ったみたいで、ちょっと驚いた顔をしてる。
「よく見えないって言われますけど、一応これでも18です」
やっぱり年下なんだ・・・。
「で?何でアイツがナイフ持ってるって分かったんだ?」
「何となく動きが変でしたし、ナイフ持ってる方の手を庇うような歩き方してたから・・・ですかね?」
顎に手を当てて考えた白斗ちゃんは、昴さんの目をまっすぐに見てそう言う。・・・・・・何て言うか、勇気あるなぁ。
その後も昴さんの質問に白斗ちゃんは昴さんの目を見たまま答える。・・・うん、本当に勇気があると思う。
「ま、何だ。その内総理から表彰されたりしてな」
「いや・・・そういうのはちょっと・・・」
本気で嫌がっているのか、白斗ちゃんの顔が歪む。何かあるのかな・・・。
「と、とりあえず話はこれで終わりですよね?」
学生証をバッグに放り込みながら、白斗ちゃんが立ち上がる。
「あっ・・・の!」
助けてもらったのに、名前すら名乗ってなかったことを思い出す。
「私、市川 理都です。助けてくださって本当に有り難うございました」
「あ・・・その、別に・・・」
白斗ちゃんはもごもごと何かを言っていたけれど、結局そっぽを向いてしまう。・・・もしかして、照れてるのかな。
・・・・・・良い子だなぁ。

災難はあったけれど、何だかいいお友達が出来たみたいです。

――――
イイハナシダナーで終わらせたかったんだが尻切れトンボ
白斗がツンデレなのは仕様だから仕方ない
っていうかね、白斗は堂々としすぎてて高校生に見えてなければいいよねwww


mixi公開:11/08/06
つきみかん公開:11/09/12
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