あさ目が覚めたらやっぱりとなりに晋助がいた。寝てるあいだなにが起こっているのかはさっぱりわからないけれど、わたしの布団はいつもけちらされている。そして気がついたら晋助のお布団でいっしょにくるまっているのだ。さみしいよるを過ごしてあったかいあさを迎えることは、まだすこしだけ慣れない。
「………しんすけ」
きょうはいつもと違ってわたしのほうが早く起きてしまった。めずらしいことだ。晋助がまだ眠っている。晋助のまぶたがしまっている。すこし起き上がってみた障子窓は灰色にそまってるから、朝日はまだ昇ってないみたいだ。
「…あ」
晋助の脇腹にわたしの左足が乗っていて、起こさないようそっと動いてのけた。いつもそうだ。どうやらわたしは寝相がわるいらしい。別々にねようと晋助が提案したのは寝相のせいなのかなあ、とおもった。おきにいりの豆腐のかたちをした人形がたたみのうえに転がっている。これまたきっとわたしの寝相のせいだ。ごめんね、さむかったでしょう。こころのなかで呟いて、手をのばした。ふわふわのそれはだいぶ冷えていたからぎゅうと抱きしめてあげた。
「晋助、さむくない?」
わたしをすっぽり覆うようにかけられた布団を、はんぶんこになるよう寄せてあげた。すうすう。しずかな寝息がへんじをする。うんうんと頷いて、晋助の腰に手をまわした。あったかくなあれ。あったかくなあれ。
「ずうっと、いっしょにいたいなあ」
ちいさく、ちいさく呟いたはずなのに。
晋助の手がわたしのあたまを引き寄せた。晋助のまぶたはまだ、閉じている。
二度寝をしてしまいもういちど目を覚ますと、布団はまたわたしのほうへ寄せられていた。わたしが引っ張ってしまったのか晋助がそうしてくれたのか、やっぱりわからない。