こねこのちいさいおはなしや会話おおめの文
履歴と名前変換はないです
攘夷時代のふたりもちらほら





「……あの、晋助?」
「何だ」
「何だ、って…ごはん、たべなくていいの?ずっと見られてると食べにくい…」
「……チマチマ茶碗の米粒をたべるおまえの姿を眺めていたら、きっと一日なんざあっという間だろうな」
「こ、こめつぶ?せめてごはんって言おうよ…」
「一口一口が小せェんだよ」
「もぉ!結局言いたいことはなぁに?」
「おまえのことを見ている時間が足りねェ」
「……………、 晋助どうしたの?」
「酔っているのでござるよ」
「大丈夫っスか晋助さま!!窓を開けますので夜風に当たった方がよろしいかと!」
「大いに賛同出来ますな。少女の成長は無常にもあっという間ですからねぇ、瞬きをする間も惜しいものです」
「酔ってねぇ、風もいらねぇ、武市は黙れ」
「わ、!(えっえっなにこれ?!ぎゅうされてる?!くるし、)」
「……」
「し、晋助〜…みんなが見てるよぅ…」
「……」
「…ね、晋助、おへや戻ろっか。ね?おへやでおもう存分、ぎゅうってしよう?」
「…そうだな」
「きゃ!ちょ、あの晋助っ、じぶんで歩けるからあ…」
「黙って抱かれてろ」
「………あ〜あ、連れてかれたっスね…ふたりともまだ膳の上残ってるのに」
「…そういえば最近は、おかずをぽろぽろと取りこぼしたりすることもなくなったでござるなァ」
「それ成長なんスか?まぁ、なんだかんだ振る舞いも女っぽくなったっスよねー」
「ああして晋助殿のことを諭すまでになられて末恐ろしい限りですよ。あとうらやましい」
「台無しだよこのロリコン」







「晋助、?」
「……」
「会合、?しょ、うだん?…たくさんおつかれさま。帰っきてくれて……うれしい、」
「帰るに決まってる」
「……うん」
「…今日は離れんな」
「…へへー、もちろん。きょうも、あしたもそのつぎの日も離れる気なんてないよ。晋助」

船を空け、数日を経て戻るとたまにハッと息をのむ時がある。おかえりなさいと出迎えてくれる笑顔や、飯をくちに運ぶこいつの横顔はこんなにきれいだったのかと。
日々成長することをどこかさみしいと感じたり、飯時での一口がちいさいところは昔と変わらない、そんなことに安堵したり。

「しんすけ」
「…何だ」
「えへへー、だあいすき」

それでもこれだけは、いつまでも変わらない。大好きだと伝えてくれる度に見せる、あどけない笑顔だけは。

「…俺もだ、」

一瞬でもこのツラを見逃したくないというのに、こいつの身体を抱きしめようとする腕はいつだって止まってくれたことはなかった。

(のちにふたり仲良く小腹を空かせる)
20190312 12:03




※銀祭り前夜祭についての会話がございますのでご注意※











「聞いてない」
「……」
「聞いてないんだけど」
「…何の話だ」
「分かってるくせに!!なにあれ!どーしたのあれ!ぽんぽん痛いとかほかにも色々言いたいことあったけど最後にぜんぶもってかれた!!うううう!」
「分かったから泣き止め」
「だってあんな…!あんなことわたし、言ってもらったことないぃ…」
「…当たり前だ、おまえに出来ねぇことを言える訳があるめーよ」
「わたしのこと全部こわしていいよ、晋助のすきなだけ滅茶苦茶にして」
「………」
「ね、晋助…わたしにも言ってよぅ…、」
「……」
「…俺は、」
「……、!」
「…(何で嬉しそうなんだ) 俺はただ、」
「、うん」
「………」
「…?」
「…おまえが大切だ」
「ちっがうじゃん!!」
「我儘言うんじゃねェよ、何でこれで不満なんだ」
「ほかのひとにあげたものをわたしにもくれないからだよー!っていうかなんか、え?ちょ…近くない…?」
「だったらテメェは、……おまえだけは言った通りのことをその身をもって知ればいいだろう」
「ぇ、あの、」
「こういうのを有言実行っつーんだよ、覚えとけ。そういや俺の好きに、それも滅茶苦茶にしていいんだったよなァ?」
「えええわたしのことたいせつなんじゃなかった?!」
「あァ、大切過ぎて壊してやりてェよ。…俺とおまえを阻む全てのもんを」
「……ちょっとアレンジ加わってるけど…へへ、嬉しい。ありがとー、晋助」
「…満足か?」
「…有言実行がまだだよ?」
「そうだったなァ」
「わ、ぇ、待ってちょっと、…どうして着物脱がなきゃなの…」
「望み通り滅茶苦茶にしてやるからに決まってるだろ」
「そっちを実行?!わたしたちのこと阻んでくるなにかの退治は?!」
「…とりあえず今はこの腕が邪魔だな」
「うわあああ有言実行!!」

(俺はただ壊すだけだ、おまえの全てを

ありがとうございました)
20190303 06:31




「下のアレ何??どうなってんの??なんで高杉のくせにあんな美味しい思いしてんの??銀さんもさァ、ねこの日にあやかってにゃんにゃんさせてもらおっかなァなんて意気揚々と猫耳なんか用意しちゃってた結果が、」
「ぎんちゃ、どーしたのー」
「これだよ!!!なんでちっこい時のエピソードになるかなあ!!もうハートフルな展開しか望めねェじゃん!!」
「ぎんちゃ?」
「…まァ何にせよ可愛いからいいんだけど」
「? それ、かぁいーね!ねこさんのおみみ、…と、しっぽ?」
「可愛いだろー、似合うとおもってさァ〜」
「うん!しんちゃんにぜったい似合うねー!」
「………いや、いやいや冗談やめようぜ」
「しんちゃんどこいったんだろ、探してこよっと」
「オイ、」
「あ、しんちゃ、」
「天パテメェ、その手に持ってるモンとこいつで何しようとした?何を考えてた?」
「下の展開がR指定に到達しそうだったからこういう王道なモンでおまえを落ち着かせてやろうとおもったんだよ」
「いらねぇ世話だな」
「つーかんな警戒されても、この子が一番気をつけなきゃなんねーのはおまえだろ高杉」
「…隙あらばこいつにおかしなことばかり吹き込みやがってテメェこそ教育に悪いんだよ金輪際こいつに近寄るんじゃねェ」
「まァまァ!!金時も高杉もちっくと落ち着くぜよ!!」
「ぅお!、びっくりしたァ、辰馬てめー声デケェんだから驚かせんな」
「まったくおまんらは顔を付き合わせればそうやってイライラカリカリしよってからに、そんなふたりに…ほぉーれ!!」
「ん?んん?たっちゃん?」
「……」
「……」
「なに?なに?あたまのとこ、これなぁにー?」
「えぇから!とりあえず猫さんの真似して、にゃーって鳴いてみんか?」
「? にゃぁ、」
「……銀時」
「…おう」
「見んな」
「ゴフッッ…!!いっ…てェエ!!コノヤロー加減なしかよ!!」
「どーじゃ高杉!!可愛いはまさに正義じゃろう!!想像以上に似合うとってわしも辛抱たまらん気持ちに…」
「テメェもだ、気安く抱き上げんな」
「え、ちょお、ホギャ!!!」
「あれ?しんちゃん、たっちゃんがねむっちゃったー」
「…寝かせとけ、もう部屋に戻んぞ」
「わぁい、しんちゃんのだっこだ〜えへへ」
「頭のモンは外すな、しばらくそのままでいろ」
「ちゃっかり猫耳堪能しようとしてんじゃんアイツ!!いらねぇ世話とか言ってなかった?!」






「肉球のために草むらでずっとスタンバッていました」
「でもっておまえが締めるのかよ!!!」






「ふざけんな、馬鹿に締められて堪るか」
「あー!あたまにねこさんのおみみついてる!」
「…(あァ、鏡をみたのか)」
「ぎんちゃんがもってたのはくろねこさんのおみみだったけど、これはまっしろだねー」
「……辰馬のクセにしっかり似合うモン用意しやがって」
「? これ、わたしににあう?」
「…似合ってるよ」
「!、えへへー!にゃーっ!」
「……あー、くそ…」
「しんちゃ!にゃあ!」

(しばらくねこの日でもいーわ)
20190222 22:23




「今日はねこの日なんだって」
「猫?」
「そうー!2月22日で、にゃんにゃんにゃん!だから」
「こじつけじゃねェか」
「というわけでねこらしく甘噛みさせてもらいます。晋助おてて出して」
「あァ?おま、」
「はむ、 ん、っ んん…」
「……………(ムラァ)」
「…ん…、…えへへー晋助のゆび、おいしい〜」
「……甘噛みはそうじゃねェ」
「ぇ、きゃ!」
「……は、」
「うぅ、…日頃のいたずらの仕返し、するつもりだったのに…っひぁ!?」
「……オイ、」
「あ、」
「何だ、これは」
「あ、あのね!流行ってるんだって、これ。ねこランジェリー?っていうらしくて、」
「…腿にでも噛み付いてやろうかと思えば…こんなもんを忍ばせてたとはなァ」
「恥ずかしかったけど…ねこの日だし…もし、晋助に見せれたら…か、可愛いっておもってくれるかなあって…」
「……」
「あ、上!上もおそろいなんだよ!お胸のおおきさ足りなくて…モデルさんの着用例とは程遠くなっちゃったけど…」
「…見せてくれんのか」
「…!ぅ、うん!だって晋助のために着けたんだもん…」
「…へェ?」
「あ、…で、でもやっぱり見苦しいかも……」
「んなことを心配するよりも明日の足腰を案じた方がいいと思うがな」
「うぅ、…だって」
「…可愛いよ、おまえは(つーか唆る)」
「……はぅ、…」
「俺の為に着たんだろう?見せてみろ」
「、うん!えっとね、ほらここ!ねこちゃんの窓があって…あとお尻のとこには肉球も、 っん!んん、ひぁ、…しんすけ、」
「えっろい猫だなァ…俺がたァっぷりと躾けてやるよ」


こんな食べてくれと言わんばかりの据え膳、美味しくいただかねぇ方が馬鹿だろ。俺は悪くねぇ。
控えめな谷間の部分をかぷりと甘噛みすれば、目の前の猫が可愛らしくにゃあと鳴いた。

(にゃんにゃんにゃん)
20190222 20:03




(※実写版についての話題有り)



テレビの画面、それも音楽番組なんざを熱心に見入っている姿に、珍しいこともあるもんだとその横顔を見つめる。すると不意にパッと目が見開き、そこからちいさな星でも瞬きそうなくらいの明らかな変化に眉をひそめた。
画面のなかの映像は、二人組の男。

「あ、つぎのおうた このひとの番だ」
「はァ?この人?」
「かっこいいー…」
「………あ ?」
「!、う…ごめんなさい……で、でもね、今映ってる左のほうのお兄さんが晋助に似てるから…」
「ついに俺と他の野郎の判別もつかなくなったか、嘆かわしいことだよ」
「ち、ちがくて!晋助に似てるっていうか……あっちの晋助に似ているお兄さんだなあって…」
「…何意味不明なこと言ってんだテメェ、その手に持ってんのも何だよ」
「!、こ、これはだめ!あっ、ちょっ!」
「…………」
「返してー!!たとえ晋助でもそれはあげらんない!」
「要らねェよテメーのツラがプリントされた紙切れなんざ(つーかこれは俺と言っていいのか)」
「か み き れ??!!ひどい!それはねぇ!万斉さんとまたこおねーちゃんにねだってねだりまくってしぶしぶ映画館まで連れてってもらって、真夏の朝からすっごい並んだ末に手に入れた超超貴重な晋助のむびちけなんだからあ!」
「……とりあえずだ、おまえ俺に黙って外出しやがったのか(あいつら一発、いや三発ぶちかます)」
「っ………!!」
「ほォ?」
「だだだって……!!どうしても晋助のちけっと…欲しくて…う、うぅ、(近いぃぃ)」
「……泣き落としなんざ通じねーぞ(可愛いなくそ)」
「だって晋助にお顔近づけられるとどきどきしちゃって、おめめが潤ってくるんだもん…」
「……」
「そっちの紙だったらこんなにまでならないよ…(買えた瞬間うれし泣きしそうになったけど)」
「…そうかい」
「でも大事なものには変わりないから返してねそれ」
「(ブチッ)」
「え、ぶち…?し、しんす…ひゃあ!ちょ、晋助!ゎ、あぅ、」









「もうお嫁にいけない……」
「…どこに嫁ぐ予定があったんだよ」
「…………しんすけのとこ?」
「なら心配無用だろ」
「もらってくれるんだ…」
「さっきから野暮なことばかり言ってんじゃねェ、おまえがどうなろうと端っからどこにも寄越すつもりなんざねーよ」
「…うん、えへへぇ……ん?、あ!ああぁ…!お兄さんの出番終わっちゃってる…」
「……懲りてねェようだな、鳥頭もここまでくるとどうしようもねーよ」
「う、!あ、ぁ…うわきじゃない!うわきじゃないもん!っぎゃあ!も、むりぃ…」



好き勝手に遊んで鳴かせてやった結果、ぐったりと脱力しちまった身体を抱き込んだままこうなった根源の紙切れを手にとった。なんだかこの中の俺が勝ち誇ったようなツラでこちらを見ているような気までする。
テメェには渡さねェ。唾でも吐いてしまおうかと考えたがぐっと堪え、床にぽいと放り投げるだけに留めたというのに、それに立腹したこいつはしばらく口を聞いてくれなかった。

(しばらく=3分)
20190108 00:21




「そろそろ年賀状の季節だねぇ」
「そうだな」
「晋助は今年もいつものやつぎんちゃんに送るの?」
「気分次第だ」
「わたしも送りたーい!いのしし描くー!」
「やるからには祝詞もきっちり書けよ」
「はあい、え〜っと…あけましておめでとうございます! 今年もたくさんぶっこわしま〜す!でいいかな」
「オイ、物騒な宣言が陽気すぎやしねェか」
「これくらい年賀状回であんなインパクトを残してった晋助とはくらべものにならないよ」
「何言ってんだ、つーかインパクトなんて単語どこで知った。おかしな読み物でも読んだんじゃあるめェな」
「ちなみに本誌で年賀状回を読んだ当時は、とうとつな晋助の登場とまさかの路線のメッセージに悶え苦しんだ挙句その日一日はもちろん、しばらくごはんがのどを通らなかったとかなんとか、」
「………そこそこ重症だな。つーか誰の話だよそれ」
「どうしようかなぁ、あいさつ……ぶっこわすはだめ?」
「…俺と入籍しましたとでも書いときゃいい」
「なあにそれ」
「いいから、そう書いてしまえ」
「晋助と、にゅうせき?それってあいさつ?」
「新年の挨拶ついでに報告する奴もいるだろうよ、問題ねぇ」
「ふうん…わかった!漢字わかんないから、ひらがなでいいかな。あ、辞書で調べて書けばいいんだ」
「…外で煙管吹かしてくる」
「うん、いってらっしゃ〜い」



しばらくして部屋に戻ると、真っ赤になったツラの半分を辞書で隠しながら「うそつくのよくないよ…」と言われた。
ので、遅かれ早かれのことだろうと返し重ったるい辞書を取り上げて唇を奪ってやった。





「にゅうせきが何かも知らないのにこんな報告浅ましすぎる…から、もっとお勉強がんばります……」
「まァ、やれるだけ頑張れや(浅ましいの意味は知ってんのに、何故か知識が極端なんだよなこいつ)」

(今年も変わらず銀河一のなかよしさん)
20190107 00:04




※60話.月がきれい についてふたりが語っています









「ついにしちゃった」
「あ?何のことだ」
「ねえ、ついにだよ。ついにしちゃったよ」
「……そうだな」
「えっ!!なにについて言ってるか分かったの?!」
「…まァ、」
「…………ちゅう、したね」
「…あァ、したな」
「ちっちゃかった頃にも何回かしてたけど、ほら、わたしが転んじゃって大泣きしたときとか」
「あん時ゃおまえの泣き声で鼓膜が破れちまうかとおもった」
「む、…だからちゅーでくち塞いだの?怪我したとこ手当てするよりもまず先に?」
「……」
「…でもうれしかったなぁ。あのときも、今も」
「出来るまで随分時間がかかったもんだよ」
「その分うれしさも倍増してるもん」
「うれしいのか」
「当たり前だよ!今年一番のしあわせ」
「…おまえがそう言うなら俺ァ何も言うことねェよ」
「後悔は?」
「あるわけねーだろ、そんなもん」
「…じゃあわたしも言うことないや」
「後悔も後ろめたい想像もおまえがする必要はねェ… もう悲しくなるようなことなんざ考えなくていい」
「…ほんと?」
「本当、……俺も例外なくしあわせなんだからなァ」
「……ぅ、 …しんす、け…」
「…泣いてんのか」
「う、うぅ〜〜…」
「泣き虫はいつまでも変わらねェなあ」
「……ここの晋助がめずらしくやさしい、いたずらしてこない…」
「あ?」
「…………、」
「今更しまったってツラしても遅ェよ」
「っ!わ、わ!近いっ、ねぇ近い近い近いってばあ!」
「嫌か」
「やじゃない!です、!」
「ならいいだろ」
「い、いいけど、!よくないの!いやいいんだけどもね?!でもちょっとだけよくないのー!」
「…クク、結局どっちだよ」
「ぅ、…いい、です…」
「………あー、」
「?、し、晋助?」
「……好きだなァ」
「…!……うん」
「…どうしようもねェくらい」
「……わたしもすき、だいすき、」
「顔見てェ」
「…そしたらちゅーする?」
「……決まってんだろ」
「こ、こころの準備させて!いちにのさんで、ちゃんとかお合わせるから!」
「……」
「いぃーち、にーの…」
「…長ェよ」
「さ、えっ ん、んぅ、……」

(すきが溢れる)
20181231 23:00




(※実写版のはなししてます)



『そろそろいい頃合いだぜ』
「っはぅあ〜〜〜〜!」
「………」
『殺ってこい、将軍を』
「え〜ん晋助〜…かっこいいよ〜〜…」
「オイ」
「っわぁ!びっくりした、!」
「何処見てなにを言ってやがる、俺はこっちだろうが」
「てれびの画面だよ〜」
「もう少し離れて見ろ、目ェ悪くなるぞ。大体何だそれは」
「実写版の晋助!あんまり期待してなかったけどこれはこれですてき!やっぱりどんなとこでも晋助はかっこいい!」
「……」
「ね!みてみてここのくるぶし!さいこう!きれ〜い、だから足だけ映すシーンがあるんだろうね」
「……」
「あとねあとね!ここ!キセルもってるゆび〜!細すぎず太すぎず、でもちゃんとおとこのひとの太さ!あ〜ん晋助のあの手でさわってほし〜い」
「毎日ふれてやってるだろうが」
「うんまぁそうなんだけど」
「……」
「えへへ、かっこいいなあ晋助」
「…こっちをみて言え」
「……?もちろん、いつもの晋助がいてこそのかっこよさだよ」
「聞いてねェ」
「どんなところでも晋助はかっこいいよね。でもわたしのいちばんは、ずっとわたしのそばにいてくれた晋助だからね」
「…望み通りふれてやろうか、嫌って程によォ」
「、え…ぁ、ちょ、 わあ!どこさわってるの!」
「堂々と浮気発言ばかりしやがって覚悟は出来てんだろうな」
「うううわき?!」
「何で赤くなる」
「だだだだってうわきって…けっこんしてるお嫁さんがすることでしょ…」
「……」
「…晋助の…およめさん……はぅ、」
「………おまえ、っとに…(嬉しそうなツラしてんじゃねーよクソ、ほんと敵わねぇ)」
「し、晋助、っひゃ!あ、あの!!うわきは!断じてしてません!だからお耳はかんべんして …ぁ!ん、んんっ、…」
「動くな(こっちが勘弁してくれ女の声出しやがって)」

一体いつまでこれだけの仕置きで済ませられるのだろうかと考えたが、画面に俺が映るたびに(ややこしい)反応し我慢出来ずそちらを向くこいつに、あまり長い期間ではなさそうだと。ちいさな耳のなかにちゅるりと舌を入れながらそうおもった。

(円盤を入手したお嬢さん)
20181223 23:26




「晋助、髪ちょっとのびたね」

唐突だが、我等が鬼兵隊の頭領、高杉晋助の散髪を任されているのは意外なことにも彼が寵愛する少女である。



夕方、晋助と共に船へ帰還すれば、つい今朝のころの見送りでも抱き合っていたというのに、ふたりは会いたくてたまらなかったと言わんばかりにぎゅうぎゅうと熱い抱擁に、おかえりなさいとただいまのあいさつを交わした。
しばらくして晋助に抱きしめられたまま、かおだけをこちらに向けたへらりと笑うしあわせそうな彼女に、万斉さんもおかえりなさい、という遅めのそれを貰う。いつまで見てるんだという晋助の無言の視線も。
とりあえずは自分の存在も認識されていたことに安堵した。

腕を組んで仲睦まじく船のなかを歩く我等の頭と少女のすがたを、ほかの隊士たちは軽く会釈しながら見送る。そんな周りに目もくれず、互いのことしか見ていないふたりはただ自分たちの会話に花を咲かせていた。忙しなく働く隊士にも、彼等から数歩距離を置いて歩く拙者にもその会話は耳に入る。

「後ろ髪と横のところがのびたなあって」
「おまえの腕が落ちてねェのならまた頼まァ」
「おちてないよ!やったぁ、ひさしぶりにわたしのさんぱつやさん営業だあ」
「他の客を贔屓になんざしてねーだろうな」
「わたしのお店は晋助だけの専用だもん、えへー」

この娘を目の前にすれば、晋助もこのような調子である。散髪屋さんごっこに乗っかる男になるのだ。
彼女が回した腕を振り払うことなどもちろんせず、更にひょこひょことちいさな彼女の歩幅に合わせて歩く頭のすがた。先ほどの会話や彼等のつくる空気など、すべてをまとめてもう砂を吐きそうな気分になった。はやめに自室へ戻ろう。




「……晋助」
「あ?」
「いや、なにも…」

翌日、彼専用のさんぱつやさんにて散髪を済ませた晋助はどことなくすっきりした表情で艦内を歩いていた。
ようく見れば、一ヶ所だけほんのすこし毛先がぱっつんになった横の髪を、くすぐったそうに、だが愛おしそうにゆびでふれる晋助のすがたは、また彼だけのさんぱつやさんが営業されるまで度々目撃されることになった。

(失敗してもそのまま)
20181223 01:00




「どーもォ〜万事屋銀ちゃんでーす。よく分かんないけどなんか派遣されました〜。とりあえず高杉お前、ここじゃ3度にわたって可愛いを連発されてますが。そこんとこどうなの?」
「ひとつ前でやったのは甘噛みだ」
「誰も聞いてないから、掘り下げてほしいのそこじゃないし」
「一丁前に感じてたのか声が色っぽかったな」
「キャッチボォォオル!!誇らしげなツラして言うことじゃねーよ!つーかもうお前立派に手ぇ出してるわ!犯罪だわ!」
「テロリストに対して今更だろ」
「わたしおもわず噛まないでって言っちゃったけど、痛かったわけじゃないからね。大丈夫だよ晋助」
「あーうん、そこ心配だったんだね高杉くんは。だから弁明したかったのかな」
「どきどきしたぁ…、おみみがまだね、なんかそわ〜って!そわ〜ってしてるの」
「……なんだそれ、意味わかんねェよ」
「どーせ今のも可愛いとか可愛すぎぃ!とかおもっちゃってるんだろ」
「しね」
「お前がしね。でもさぁ、このこはまだシンデレラでいてほしいよ。銀さんのお願い」
「…?」
「よくわかってねぇぞこいつ」
「王子さまが晋助じゃないとなぁ、わたしやる気でるかな…舞踏会の日もふつうにおそうじして終わっちゃいそう」
「気にするのはそこなんだ、まず高杉のことなんだ」
「不満ならかぐや姫でいいじゃねーか」
「あのさ、今そういう話をしてたんだっけ?」
「やだー!お月さまに帰りたくないもん!晋助とずっといっしょにいる!」
「………」
「ウワやだ、なんかポヤポヤした雰囲気漂ってきちゃったよ帰りたい」
「まァ、おまえは貴公子たちに無理難題なんざ突き付けそうにねーよなァ」
「そこまであたまが回らないおばかだって言いたいんでしょ」
「……そう気づけるたァ少しは賢くなったもんだ」
「んんん゛!」
「えっ、何今の。鳴き声?ほっぺ膨らませてるってことはもしかして怒ってる?」
「全くそうは見えねーが怒ってんだろうよ、こいつなりに。こいつなりに」
「すっごいおこった。なんで晋助2回言ったのぜったいばかにしてるね」
「まぁまぁ、おまえはさァ、人を騙してありもしねェ献上品探しに行かせたりするタイプじゃねーだろ。むしろそうであってくれ銀さんはそう信じたい」
「当たり前だろうが。誰が育てたとおもってやがる」
「お前だから気がかりになるんだよ、こんっっな純真無垢なまま育ってくれたのが俺ァ不思議でならねーわ」
「かぐや姫みたいなことはおもいつかないだろうけど、欲しいものならたくさんあるしなあ」
「何だ、言ってみろ」
「即刻そろえて献上する勢いですね高杉くん」
「え………、し、晋助とおてて…つなぎたいなぁ、とか…」
「……」
「……」
「晋助とぎゅうしたいとか、 晋助とちゅう……したいとか、」
「……」
「……」
「あっ、あとふたつ何にしよう…貴公子さんって5人いたよね?うーん…」
「いやいい、もういいよ。出来れば思いつかないままでいてくれホント。これも銀さんのお願い」
「…全部俺しか叶えられねーじゃねェか」
「あ、よく考えたらそうだね。相手が晋助じゃないとわたし、ほしいものも考えつかないや」
「まず相手も高杉じゃないと全員門前払いなんだろ。この子の物語の中に5人の貴公子も帝も存在できねーよ」
「ある意味かぐや姫より酷だなァ」
「一途も行き過ぎちまうとそうなるわ。つーかスッゲうれしそうだね高杉くんべつに羨ましくなんかねーけどそろそろ解散にしない?」
「おねがいの残りふたつ、いっこは晋助とおててつないで、おさんぽすることにする!」
「その話終わってなかったんだ、もう俺ゲロ吐きそうだよ」
「残りのひとつは、うーん…晋助と、晋助と何にしよう…たくさんあって絞れない…」
「いずれおまえも接吻より濃いものが欲しくなる、残りはそれでいいだろ」
「濃い?ちゅーよりも?」
「近いうちに教えてやる」
「ぜっっったいに許しません」
「別に5つに絞らなくとも、おまえの願いなら俺が全部叶えてやらァ」
「ほんとう?」
「本当」
「……えへ、そんなしあわせなことあっていいのかな」
「もうやだ末永く爆発してほしい」

(まだしばらくは女の子でいてほしい、銀さんのお願い)
20181213 20:03


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