Lust | ナノ

少しずつ鼓動が速まっていくのを感じながら、なまえはしがみつくように冴島の首に回した両腕に力を込めた。
乱れてゆく服と、それに応じて露になる素肌。晒されたその肌に吸い付くように寄せられる冴島の唇がなまえの身体を震わせた。
既に上半身裸になっていた冴島の肌からは、熱いくらいの温もりが伝わってくる。
なまえはその逞しい身体に見惚れながら、段々と冴島の手によって剥がされていく衣服に甘い吐息を漏らす。


「なまえはホンマ…いつ見ても綺麗な身体しとる」
「冴島さん…っ、」
「全身やらかくて、エエ匂いしとるんや…。せやから俺は、直ぐに堪らんようなってまう」


なぁ、もっと見せてみ?
下着を残して全ての服が脱がされると、なまえの両脚を跨ぐように冴島が圧し掛かった。
いくら部屋が薄暗いとはいえ、降り注ぐ冴島の視線が気恥ずかしくて、なまえは耐え切れずに身体を隠すように両腕で己を抱きしめた。
だがそんな抵抗を許してくれるはずもなく、なまえの両手は冴島の大きな左手が頭上で易々と押さえつけてしまう。
羞恥心できつく目を閉ざしている隙に背中に潜り込んだ右手に下着の留め具を外されたと気付いた時には、解放された其処に冴島の唇が迫っていた。


「誰が隠せ言うたんや、なまえ…」
「だ…って」
「ええから見してみ。お前の此処、どうなっとるんや」


冷やりとした外気に胸元が晒され、役目を為さない下着はするりとなまえの肩を外れてベッド下へと落ちていった。
再びなまえが露になった其処を隠してしまう前に、冴島の手が先ほど同様なまえの両手首を頭の上で押さえつける。
既に立ち上がっていた蕾に微かに口元を緩めながら、冴島の唇がなまえをじっと見つめたままで柔らかな頂を食んだ。
たったそれだけのことで一気に全身に駆け巡った快楽に声を上げてしまったなまえを、冴島は愛おしそうに見つめながら其処に舌を這わせ続けた。


「今日は、一段と敏感になっとるんちゃうか…?」
「っ冴…」
「厭らしい顔して…ごっつエロいわ、その目ェ」


なまえに微笑みかける冴島の表情にも、今日は一段と余裕がないように見受けられた。
迷彩柄のパンツ越しにも判るくらいに硬くなった其れを押し当てられているなまえの秘所は、まだ触れられても居ないというのにじわりと蜜を孕むほどである。
だが、少し触れ合っただけで火照ってしまったのはどうやらなまえだけではなく、なまえには判らなかったが冴島の其れも何もせずとも僅かに先端に体液を纏わせていたのだった。
存在感を増したなまえの突起を転がすように這わせていた舌先を名残惜しげに引き離すと、冴島はなまえと鼻先をくっ付け合うほど傍まで距離を詰める。
微かに弾んだ呼吸を整える事も出来ずに居るなまえの唇には、あと数センチで触れ合ってしまいそうなほど近くに冴島の唇があった。


「どうする、なまえ…。次はどうされたいんや?」
「っ、冴島さ…」
「俺に何して欲しいか、たまには言うてみ?」
「そん…な、」


冴島が囁くように言葉を発するだけで、その吐息がなまえの唇を擽ってゆく。
ほんの少し顎を逸らせば届くであろうその距離を、それでもなまえは縮められずに居た。
つん、と言葉を促すように触れる冴島の鼻先の感触だけで、すっかりなまえの身体は物足りない刺激を求めて揺れ動く。
乱暴なまでに唇を奪われたいというなまえの欲求を知りながら口づけをくれない冴島に、もどかしさばかりがなまえの心を蝕んでいった。


「も…っ、冴島さん、」
「ん?」
「っ、キス…して欲し…、」
「…嗚呼、なんぼでもしたる」


柔らかく笑う冴島の瞳に目を奪われている隙に、ふわりとなまえの唇に冴島の其れが重なり合った。
すぐに離れてはまた触れる柔らかい感触が、とろりとなまえの脳を溶かしてしまうのではないかと錯覚するほど優しい感触だった。
啄ばむような冴島の口づけの繊細さに、堪らずなまえの両手が綺麗に刈りあがった冴島の後頭部を引き寄せる。


「…っ、と…もっと、欲し…っ、」
「嫌や言うても…止めてやらんわ」


唇が触れ合ったままで囁かれた言葉は、震える空気と共になまえの身体を痺れさせていった。
自らねだるように冴島の下唇を食みながら舌先を求めると、とろりとした粘液が混ざり合う音が吐息の合間に響くのだった。

目眩がするほど抱き合って

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