Lust | ナノ

なまえを後ろから抱きしめると、柔らかな髪の毛から仄かにシャンプーの香りが鼻をくすぐった。
すぅ、と深く呼吸をすると、それだけで冴島の身体の中心には熱が集まってくる。
愛おしさでなまえの首筋にちゅっとキスをしながら抱きしめる腕に力を込めると、なまえは擽ったそうに首を竦めて冴島に振り返った。


「どうしたんですか、冴島さん」
「ん、なんでや?」
「だって…なんだかすごく甘えんぼさんですよ」
「まぁ…しゃあないやんか。お前と居ると引っ付きたくなんねん」


振り向き様のなまえの唇にキスを落とすと、冴島の無骨な指がなまえの髪を梳く。
細くつやつやと指通りの良い髪の感触が心地よい。
くるりとなまえの身体を反転させて口付けながらゆっくりと床に押し倒せば、蕩けるような瞳が冴島を捕らえていた。


「目一杯抱いたら…なまえは壊れてまいそうやな」
「そんなことありませんよ」
「いいや…こんな細っこい身体で俺を受け止めとんの見とると、なんやホンマに壊してまうんちゃうかと思うねん」


じっとなまえを見つめながらすべやかな内腿に指を這わせると、ピクリとなまえの身体が震えた。
突然の快楽を堪えるように歪んだ表情ですらも、冴島の欲情の種にしかなり得ない。
無遠慮になまえの肌を走り回る指先が下着越しの蜜壷まで達すると、なまえの甘い声が一声だけ響いた。


「エロい顔して…もう欲しなったんか?」
「や…っ、違い…ます」
「…さよか。違うんやったら、止めとくわ」


にやりと笑いながら手を離す冴島に、なまえの表情はあからさまに動揺の色を含んだ。
物欲しそうに懇願する瞳は逸らされることなく冴島に突き刺さり、それだけで冴島の下腹部は熱を孕む。
スッと伸びたなまえの指先が冴島の頬に触れたかと思うと、冴島さん、と切なげな声が己を呼ぶ声が耳に響いた。


「意地悪、しないで…」
「してへんで…意地悪なんて」
「も、っ…冴島さん、」
「嗚呼、もう判った判った。そないな顔せんといてくれ」


我慢が利かんようになるやろ?
苦笑交じりに囁くと、今にも泣き出しそうななまえを冴島の両腕が抱き起こす。
胡坐の上になまえを座らせると、互いに向かい合って激しくキスを交わした。
すっかり立ち上がった雄を押し付けようとなまえを強く引き寄せれば、なまえの身体は触れるたびにびくりと震える。


「なまえ…ホンマに、壊れんといてくれや」
「っ、冴島…さん、」
「この手で、傷つけとうないねん…」
「平気、です…。だから…冴島さん、」


いっぱい、抱きしめてください。
首筋にぎゅうっとしがみつきながら囁かれたなまえの言葉に、冴島はふっと頬を緩める。
華奢な身体を強く強く抱きしめてやると、覚悟しとけや、と冴島は低い声でなまえの鼓膜を揺さぶるのだった。

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