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「しょうがねぇな…俺が看病してやるよ」


ぶっきらぼうだが優しさを込めて告げた大吾は、なまえの手を引いてその足をなまえの自室へと向かわせた。

ようやく休みが合い、久しぶりのデートの予定だったのだが、エントランス前で待ち合わせたなまえはと言えば明らかに様子がおかしかった。
重たそうなまぶたと潤んだ瞳、そして上気した頬が普通の状態ではないことは、一目見て直ぐに理解できた。
するりと伸ばした指先がなまえの首筋に触れると、疑念が確信に変わった。
あまりにも熱いなまえの身体に、大吾は心配と同時に呆れかえったのだ。


「お前…そんな熱でどうする気だったんだよ」
「だってせっかく、久しぶりに大吾さんと逢えると思って…」


熱くらい我慢しようと思ったんです…。
あまりにも悲しそうな顔で俯くので、大吾の口元には笑みが浮かぶ。
無理をしてでも自分に逢う事を楽しみにしてくれていたなまえに、嬉しさがこみ上げる。


「馬鹿だな、逢うのなんてまたいつでも出来んだろ」
「でも…どうしても今日、逢いたくて」


子供のような口調で拗ねるなまえが可愛くて、大吾は口元を緩めたまま優しくなまえの頭を撫でた。
なまえの体調はもちろん心配なのだが、逢いたかったというのは大吾にとっても本心だった。


「しょうがねぇな…俺が看病してやるよ」
「そんな、悪いです…」
「俺がいいっつってんだろ、黙って甘えろよ」
「…ありがとう、ございます」


火照った手を繋いで、なまえの部屋へと足が急く。
早く着替えてベッドに行けよ、となまえの背中を優しく促しながら、大吾は密かになまえの傍に居てやれる事実に喜びを覚えたのだった。

呼吸器系炎症性疾患

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