Lust | ナノ

ベッドに沈む大吾の姿に、なまえの頬が緩む。
余程疲れているのだろうな、とは判っていても、胎児のように身体を丸めて眠る姿は愛おしさを誘うのだ。
ゆったりとした呼吸が繰り返されて、大吾の身体が微かに上下する様は、愛おしさと同時に安堵も与えてくれる。
今日も生きて、息をしてくれている。
そして、明日のために眠りについている。


「大吾さん、」


小さな声で囁きかけるなまえは、ラグの上を膝立ちでベッドの傍までにじり寄った。
深い眠りについている大吾が目覚める気配はなく、なまえは自分が満面の笑みを浮かべているとも知らずに大吾の傍らに顔を近づけた。


「もう、ひとりで遠くへ行ったり…しないでくださいね」


頭だけをベッドの上に乗せながら、なまえは向き合った大吾に語りかける。
乱れた前髪を指先でそっと払いのけてみると、整った顔立ちがはっきりとなまえの視界に入った。
指先で優しく大吾の頬を撫でてみるが、熟睡中の大吾は目を覚ます気配がない。
大吾が自分にこんなにも無防備な姿を見せてくれるのが、純粋に嬉しかった。


「大吾さん、すき…」


眠り姫にキスをするように、なまえは薄っすらと開かれた大吾の唇に口付けを落とした。
一瞬で顔を離してみると、微かに顔を顰めながらも大吾は深い呼吸を繰り返していた。
眠りながらも険しい顔を見せる大吾が可愛くて、なまえは思わずふふと笑い声を零した。

大吾は今、どんな夢を見ているんだろう。
ベッドの端に頬杖を付きながら、なまえは愛おしげに眠る大吾の髪を撫でるのだった。

Love you only

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