Lust | ナノ

嗚呼もうあかんわ。
ぼそりと呟いた後で、龍司はばたりとなまえのベッドに倒れこんだ。
しばらく逢えなくなってはや五日。
否、まだ五日しか経っていないにも拘らず、龍司は早々に音を上げのだ。
合鍵を使って勝手になまえの部屋に入り込むと、龍司が一目散に向かったのがなまえのベッドだった。
倒れこむと同時に香り立ったなまえの残り香に否が応にも下腹部に熱が集まり、龍司の口からは溜息が零れた。


「餓鬼やなホンマ…溜まり過ぎや」


うつ伏せのまま、指が自然と己の雄へと伸びる。
なまえの香りに刺激され、まぶたを閉じればなまえの淫らな姿が思い浮かんだ。


「なまえ…」


小さく呟いた声がきっかけとなり、龍司の指はベルトのバックルを外すとスーツのファスナーを下ろしていた。
下着の中へと指先が入り込めば、触れた己の雄が固さを纏っているのが判る。
すう、と大きく息を吸い込むと感じるなまえの香りに、龍司はベッドに突っ伏したままで熱を纏った塊に指を纏わせた。


「ホンマ…阿呆やで、こんなんして…」


頭では判っていても、己を扱き上げる手の動きは止まらない。
身体中に纏わりつくなまえの香りに、溜まりに溜まった龍司の欲は止めようがなかった。
滑りを帯び始めた先端の熱に苦笑が漏れようとも、身体はなまえの香りに欲情し続ける。


「ッ…なまえ、」


頭の中に居るなまえは、淫猥な顔をして龍司を求めている。
開かせた脚の間に膨張した杭を打ち込むだけで、なまえはびくりと身体を震わせて達してしまう。
もっと欲しいとねだるなまえの幻想を犯しながら、龍司の手は段々と激しさを増して己の雄に絡みついた。


「あー…、ホンマにアカン…、出るわ…っ、」


空いた手でスーツと下着をずり下ろすと、途端に手の動きに速さが増す。
手探りでベッド脇のティッシュボックスから数枚を乱暴に取り出すと、龍司はそれを反り立った己の先端へと宛がった。
ぐちぐちと響く粘着質な音は、龍司の耳には最早なまえの秘所から蜜が溢れる音にさえ思えてしまう。
強く握り締めた指先で根元から先端までを何度も何度も擦り上げると、掌の中で龍司の雄が大きく脈動した。


「…ッは、」


弾けるように飛び出した白濁をティッシュペーパーで受け止めると、龍司は大きな溜息を漏らした。
なまえのベッドで自慰行為に耽る自分の姿の、なんと情けない事だろうか、と。
ごろりと仰向けに寝返りを打つと、太腿の辺りで携帯電話が振動するのが感じられた。
摘むようにしてポケットから取り出せば、なまえからのメールがそこにはあった。
今日はもう切り上げる事にしました。今から帰ります。
それだけの短い文章が龍司を高揚させたのは言うまでもない。


「もう少し早う判っとったら、こんなんせんで待っとったちゅうのに…」


己の手の中で放った熱も、一滴残さずなまえの中にぶちまけてやりたかった。
そんな後悔を抱きながらも、龍司はなまえの帰宅を強く待ちわびるのだった。

欲求不満

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