Lust | ナノ

行為の余韻にうとうとしながら柏木の腕を抱きしめていると、額に口付けが落とされた。
ちょっと待っててくれ、と囁くような声でなまえに告げた柏木は、スーツの下だけを纏ってベランダへと消えていった。
疲れと甘い痺れの中でガラス窓越しの柏木の背中を眺めていると、煙草を吹かす立ち姿にすら惚れ直してしまう。
なまえはだるい身体を起こすと、ベッドの下に散らばった互いの衣服の中からョーツを見つけ出し、するりと身に纏って柏木の後を追った。


「柏木さん、」


するりと腕を回すと、なまえはぴったりと柏木の背中に抱きついた。
ショーツ一枚では肌寒さを感じるベランダの空気も、柏木の体温があるとそれを感じさせない。
背中になまえの柔肌を感じながら優しく微笑んで見せた柏木は、まだ点けたばかりの煙草の火を消すと、首だけでなまえに向き合った。


「そんな格好して、風邪引くぞ」
「柏木さんが温めてくれれば平気です」
「まったく…」


あんなにしたのにまだ足りなかったのか?
意地悪な笑顔を向ける柏木にドキリとしながらも、なまえは慌てて彼の問いに首を振った。
染まった頬を見られるのが恥かしくてぎゅうと柏木の広い背中に抱きつくと、ふっと笑う彼の吐息がなまえの耳に届く。


「お前、俺を誘いに来たのか?」
「えっ…?」
「下着一枚で出てきて、胸押し当てて、誘ってないわけないだろ」
「っも、違います」


照れ隠しに部屋に戻ろうと柏木に背を向けるも、一歩を踏み出す前になまえの身体は背後から捕まってしまう。
なまえ、と名を呼ぶ柏木に耳を甘噛みされ、それだけでなまえの中に熱が宿った。
ひくりと反応を見せるなまえの耳の輪郭を舌先でなぞりながら、柏木の掌がなまえの柔らかな胸を弄ぶ。


「欲しくなってきたか?」
「や…っ、」
「嫌なら…やめちまうぞ」


低音が心地よく耳に響き、なまえは微かながらも首を横に振って意思を示して見せた。
軽々と抱きかかえられたかと思うと、なまえの身体はベッドの上にうつ伏せに倒される。
何度も何度もなまえの名を呼ぶ声は執拗に耳元を擽り、後ろから回された柏木の指先が纏ったばかりの下着に手を掛けた。
スーツ越しに押し当てられた柏木の其れを腰の辺りに感じながら、なまえは柏木に口付けを強請るのだった。

シーツの中のシンデレラ

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