Lust | ナノ

無言の空気が、なまえに一層の気恥ずかしさをもたらす。
まじまじと見つめられることに慣れることなど、この先も一生ないだろうと思わずにはいられない。
するすると脱がされた服や下着はベッド脇に散らばっており、己の身体を隠せるものは何もない。
両手は柏木の手によって塞がれ、全てが露になったまま顔を背けるくらいしか抵抗は出来なかった。


「綺麗だな、肌が透けちまいそうなくらい白いし」
「っ、も…見ないでください」
「そういうわけにはいかねぇだろ…」


なまえに覆いかぶさる柏木は逞しい上半身を晒してなまえにぐっと顔を近づける。
ずっと見てても飽きねぇよ、となまえの耳元で囁くと、そのまま首筋に口付けられる。
ぬるりとした感覚が徐々に首筋を下って行き、なまえの背中をぞくぞくと粟立たせる。
自分のものとは思えないような甘い声が漏れることに戸惑いながら必死に声を押し殺していると、今度はなまえの咥内に柏木の舌が捩じ込まれた。
あまりに巧みな舌技に、なまえの息は弾んでゆく。
執拗に咥内を掻き乱されて、ようやく解放された頃には既に、なまえの体温は上昇していた。


「声、我慢するなよ」
「でも…っ、恥ずかしい…」
「いいから…俺が聞きたいんだ」


なまえの両手を押さえたまま、柏木が左胸の突起に舌を這わせる。
口に含みながら舌先で転がされる刺激に、なまえの口からはこらえきれずに嬌声が漏れた。
自分の震えるような吐息交じりの声のほかには何も聞こえないという状況が、一層羞恥心を煽る。
時々漏れ聞こえる柏木の吐息が、さらになまえを掻き立ててゆく。
徐々に下へ下へと柏木の唇が走り、熱を孕んだ其処へ向かおうとする。
きつく足を閉じて抵抗しようにも、両手が解放された途端にあっけなくなまえの両足が開かれた。


「や…だ、柏木さん…っ」
「もう濡らしてたのか?」
「も、見ないでくださ…」
「無茶言うなよ…」


割り開かれた内腿の際どいところに、柏木の口付けが落とされる。
時々音を立てて柔肌を吸われ、なまえの身体はびくびくと跳ねた。
直接的な刺激を一切受けていないのに、熱を帯びた入り口からは止め処なく蜜が滴る。
もどかしい刺激がなまえの余裕を奪い、もう淫猥な声が漏れることなど止める術はなかった。


「なまえの此処は甘い匂いがするな…」
「っや…」
「箍が外れそうだ」


熱いくらいの熱を感じ、なまえの口からは悲鳴にも近い声がこぼれた。敏感になった肉芽が舌先で弄ばれ、なまえの背中が仰け反る。
それだけでも全身が粟立つような感覚に身体が震えているというのに、柏木は舌先で蜜ごとなまえの其処を刺激しながら窮屈な入り口に中指で侵入した。
たった一本の指の侵入も阻むようなきつい締め付けに、柏木に残った余裕が途切れそうになる。
唇を離して指先だけでなまえの中を掻き回せば、指を伝ってなまえの中からとろとろと愛液が溢れ出た。


「なまえ、このまま…」


激しさを増しながらなまえを掻き乱す柏木の指を一層強く締め付けながら、なまえは絶頂に身体を震わせた。
くたっと力の抜けたなまえからは、荒い呼吸だけが続く。
なまえの中から引き抜いた指に舌を這わせた柏木は、汗ばんだなまえの額に貼り付いた前髪を払ってやるとそっとその額に口付けた。


「これからが本番なんだからヘバんなよ」


口の端を持ち上げて笑う柏木に、身体が再度熱を孕み始める。
柏木に口付けをねだると、なまえはそっと柏木の頬に手を伸ばすのだった。

シーツの波に攫われて

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