Lust | ナノ

「真島さん、」
「ん?」
「背中、痛くなかったですか?」


背中を彩る般若に指を走らせながら、なまえが真島に問う。
ネクタイを外し、シャワーでも浴びようかとジャケットとシャツを脱いだところで、ソファでお帰りなさいを告げたなまえが真島の背中へと駆け寄ったのだった。
背後からぎゅっと抱きつかれた事にも驚いたのだが、あまり見せずにおこうと思っていた刺青に指を走らせながら問われた言葉にも驚きを隠せなかった。


「急にどないしたん…?」
「ん、と…」
「ホンマはコレ、あんまりなまえチャンに見せたなかったんやけど…」


困ったように眉を顰めながら首だけで振り返ろうとすると、なまえの腕が再びぎゅっと真島の身体を抱きしめた。
今日のなまえはどうしたんだろうか。
不思議に思いながらなまえの腕をさすってやると、少し気持ちも落ち着いたのか、なまえの腕が僅かに緩められた。
その隙に真島が身体をくるりとなまえへと向きなおすと、胸元にこつりとなまえの額が押し付けられる。


「私も、真島さんとお揃いにしたいな…」
「お揃いて…背中をか?」


こくりと控えめに頷いてみせるなまえに、真島は目眩を覚える。
慌ててなまえを引き離すと、視線を合わせるために真島はほんの少し膝を折って、両手でなまえの顔を掴んだ。


「そんなん、俺は絶対許さんで」
「でも、」
「でもやあれへんがな、絶対アカン。なまえチャンの綺麗な身体にそんなことさせへん」


半分怒りの混じった声音で捲くし立てる真島に、なまえは耐え切れず笑みを零す。
なんやどうしたんやと騒ぐ真島を余所に、気付けばなまえはするりと真島の胸の中に収まっていた。


「大丈夫です、本気じゃなかったから」
「…揶うんはやめぇ」
「でも、それくらいしたいって思えるほど真島さんが好きなのは本当です」
「…まったく、なまえチャンには敵わんで」


いつからそんな小悪魔チャンになったん?
柔らかな頬に手を添えてなまえと視線を重ねると、自然と互いの唇が重なり合った。
シャワーを浴びるという最初の目的も忘れて、真島は素肌になまえの温もりを確かめるのだった。

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