Lust | ナノ

スーツを纏うと、まるで別人のようである。
ついこの間までは黄色いヘルメットを被り、素肌の上にジャケットを羽織っていたというのに。
かっちりとした服装で、きちんとネクタイを締めた真島の姿があまりにも様になっていて、いつの間にかなまえはそんな真島に目を奪われれていた。


「なんやなまえチャン、ぽけーッと固まって…。もしや俺に見惚れてたん?」
「え、と…その…」


照れくさそうに頬を染めながらも、こくりとなまえが素直に頷くので、つられて真島まで気恥ずかしくなった。
あーとかうーとか、言葉にならない呻き声を上げながら、ほりほりと後頭部を掻いてみせる。


「そんなん反則やでなまえチャン。あんまり可愛いことせんといて」


真面目な雰囲気は苦手なのだろう。
照れくささの消えない表情のままで、真島はぽんとなまえの頭を優しく撫でて先を促した。
一緒に出かけたい、といわゆるデートのような申し出を受けていたから、というわけではないのだが、どうにも気合を入れ過ぎたようだ。
出会って直ぐ、待ち合わせ場所で真島を見つけるなりぱちぱちと瞬きをしながら固まったなまえが、それでも可愛らしかった。
もじもじした雰囲気を吹っ切るようになまえの手を引いて歩き出せば、なまえの顔にも自然と笑顔が浮かぶ。


「で、ドコ行きたいん?」
「あ…実はあんまり目的があるわけじゃなかったんですけど…」
「構へん構へん。せやったら、気の向くままにぶらぶらしよか」


にっこり笑ってはい、と頷くなまえに浮かれて足取りが軽くなる。
とりあえず劇場前に行きましょう、とご機嫌ななまえに手を引かれ、真島の頬も緩んだ。


「なまえチャンとやったら、ドコやって連れてったるで」
「ホントですか?」
「もちろんや!温泉でもええし、海外のリゾート地でもええで!せや、いっそ思っきし遠くに行こか」
「それって、あの…」


泊まりってことですか?
頬を染めて足を止めたなまえに、真島の饒舌がぴたりと止まる。
あかんか?と問えば、間髪入れずにふるふると頭を振ってみせたなまえが嬉しいです、と真島の胸に縋りついた。


「…せやから、反則やて」


綻ぶ頬もそのままになまえをぎゅうっと抱きしめてやると、もう居ても立ってもいられない。
今すぐにでも連れ去ってしまいたくなる気持ちをぐっと堪えて、真島はちゅ、となまえの額に口付けを落とした。

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