Lust | ナノ

うっとりと瞳を閉ざすなまえの枕と化した己の腕に、桐生はふぅ、と溜息をついた。
なまえの頭に下敷きにされた手でそっと柔らかな髪に指を絡めてみると、時折擽ったそうにぴくりとなまえの身体が揺らいだ。
赤子がするようになまえにぎゅっと握り締められた己の寝巻きに目をやれば、それだけで幸せな気持ちが満ちるのが感じられる。


「なまえ…」


包み込むようになまえを抱きしめると、途端になまえは擦り寄るように桐生の胸に顔を埋めた。
抱きしめた両腕に伝わる一段と高い体温に口元を緩ませたまま、桐生はついなまえの頬へと唇をキスを落とす。


「っ、ん…」
「なまえ、もう寝たらどうだ」
「や…です」


ぎゅうっと一層くっつくなまえに再び溜息を漏らした桐生だったが、その溜息はもちろん満ち溢れた幸福感から来るものであった。
すう、と深く深呼吸をするなまえを見つめていると、うっすらと開かれた瞳が桐生を見つめた。
その艶っぽく色香に満ちた瞳に不覚にも胸を高鳴らせていると、己の寝巻きを握り締めていたなまえの手がそっと桐生の頬に触れた。


「なまえ…、っ」
「ん…」


なまえの方から迫る唇が、触れるだけのキスを桐生の唇に落とす。
触れては離れ、離れては触れ、ソフトな口づけが何度も何度もなまえから降り注ぎ、思いがけないその行動に桐生は動揺を隠し切れなかった。
緊張などとは無縁の世界に生きていたはずの心臓がどくんと大きな音を立て、一気に身体の芯を熱くさせた。
触れるだけでは物足りない刺激に、腕枕をしていた方の手でなまえの後頭部を押さえつけて舌先を捩じ込むと、途端になまえからは鼻にかかった甘ったるいほどの声が漏れる。


「っ、あ…」
「なまえ」


頭を押さえるのとは反対の手は、無意識のうちになまえの寝巻きの裾を割って柔らかな脇腹を撫で上げた。
びくんと大きく跳ねるなまえの身体もお構いなしに走る指先は、段々と柔らかな膨らみを目指して進んでゆく。
丁度膨らみの下側をなぞるように指が這えば、なまえの唇から漏れる声は一段と艶かしい響きを含んだ。


「今日はいつもより、積極的なんだな」
「そん、な…っ、」
「違うのか?お前から仕掛けてきたくせに…」


口元に浮かんだ笑みが自然と意地の悪いものになってゆくのを感じながらも、桐生はなまえの身体を堪能する己の指先を止められずにいた。
弾力のある柔らかな其処から少しだけ指を進めた先で触れた突起は、もうすっかり存在感を表している。
中指の腹で転がすように撫でながらなまえの唇を堪能する桐生の背中を、なまえは堪らずにぎゅっと抱きしめた。


「さっき素直に寝ておけば、こういう事されずに済んだんだぜ」
「桐生、さ…っ、」
「それとも、最初から期待してたのか?」
「も…、意地悪…」
「道理で…今日はやたらとくっついてくると思ったよ」


なまえを押し倒して枕になっていた腕を引き抜くと、桐生はそのままなまえの寝巻きを捲り上げた。
柔らかな丘の頂をねっとりと口に含みながら、桐生の身体がなまえの両脚の間へと割り込んでゆくのだった。

夜が待てない

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