Lust | ナノ

切羽詰ったような桐生は、なまえの手を引いてバッティングセンターの脇を通り過ぎる。
いつもはゆっくりとなまえのペースに合わせてくれている歩調が、今は小走りにならなければいけないほど大股になっていた。
待ってくださいと声を掛けても、桐生はなまえに振り返ろうともせずにどんどんホテル街へとなまえの手を引いてゆく。


「桐生さん、っも…どうしたんですか?」


掴まれた手首は痛いくらいで、早すぎる歩調についていくだけで少しばかり息が上がる。
立派な造りの門をくぐり自動ドアが開くと、桐生は見比べもせずに空いている部屋のボタンを押していた。
一息つく暇もなく、なまえの腕はまたも引っ張られ、今度はエレベーターの中へと身体が押し込まれた。
桐生が先ほど選んだ部屋の階のボタンを押し、エレベーターの扉が閉まるや否や、なまえの唇が桐生の唇で塞がれることとなった。


「き、りゅ…さんっ」
「っ…なまえ、」


なまえの背中は狭いエレベーターの壁に押し付けられ、息苦しさすら覚えるほどに激しく咥内を掻き乱された。
桐生の身体を押し返そうにも、絡め取られた両手が頭上で押さえつけられる。
普段とは違う乱暴な行為にも拘らず、口づけだけで身体を熱くしてしまう自分になまえはほとほと呆れてしまう。


「なまえ…」
「っ、は…い」
「今すぐに…お前が欲しい」


余裕のない桐生の様子に困惑しながらも、求められるたびに身体が火照ってしまう身体は止められそうもない。
片手でなまえの両手を押さえ、もう片方の手で桐生はなまえの内腿を撫で上げてゆく。
口づけられながら下着越しに過敏な場所に触れられて、なまえの身体は膝から崩れ落ちてしまいそうになった。


「桐生さん…っ、や…ここじゃ…ッ、」
「わかってる…」


それでも抑えられそうにない。
苦しそうに囁かれた声と同時に、目的階に到着したエレベーターが扉を開いた。
悩ましげな表情の中で僅かに浮かんだ笑みの後、なまえの手はこの上なく優しく桐生の手に引かれ、番号が点滅を繰り返す部屋の前へと連れられる。
その部屋の中へと踏み入れれば、パタンと扉が閉まると同時に、なまえの唇には桐生の口づけが降り注ぐのだった。

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