Lust | ナノ

口付けられながら、ゆっくりとなまえの身体はベッドへと沈んでゆく。
唇が離れる事もなく、背中を支えられながら仰向けに倒されたなまえは、それだけで身体中が甘く痺れるような感覚を覚えた。
ほんのりと香る煙草の香りは、おそらく桐生が纏ったスーツからだろう。
身体に感じる桐生の香りや体温に安堵を覚えながら、なまえはするりと眼前の逞しい身体へと抱き縋った。


「桐生さん、」
「ん…?」
「もっと…して?」


一瞬瞳を大きく開かせながらも、桐生は直ぐに穏やかな笑顔をなまえに向けた。
今日は随分甘えるんだな、と囁くその低い声にすらも、なまえは胸を高鳴らせずには居られない。
何度も何度も口付けを求めながら、なまえの両腕は桐生の広い背中へと回される。
抱きしめあいながら口付けを交わすだけの行為が、これ以上ない程の幸福をなまえに与えた。


「なまえは、どうしてほしいんだ?」
「…このまま、ぎゅってしててもらえれば…」
「本当か?」
「えっ…?」


それだけで本当にいいのか?
なまえにそう問う桐生は、意地悪くなまえの耳を甘噛みしながら彼女の様子を伺った。
びくんと跳ねる華奢な身体が愛らしく、思わず触れてしまいそうになるのを桐生は懸命に堪える。
耳のラインをなぞりながら、首筋へと舌を這わせれば、押し殺した嬌声が桐生の鼓膜を擽った。


「どうした?そんな声出して…」
「だっ、て…桐生さんが……」
「俺が…なんだ?」
「っ、も…意地悪、しないで…」


甘い吐息交じりに懇願されては、桐生の表情にも堪らず優しい笑みが浮かんだ。
きゅうっと己を抱きしめるなまえの姿に口元を緩めながらも、桐生の指先はなまえの腹部を這いながら胸元へと進んでゆく。
もう一度互いの唇を重ねながら、桐生はゆっくりとなまえの下着越しに柔らかな胸を犯していくのだった。

唇に込めた愛の数だけ

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