Lust | ナノ

触れた唇の柔らかさに思わず溜め息が漏れた。
遠慮がちに触れるだけで離れてゆく口づけが、思いの他胸を締め付けるのだ。
熱い吐息を漏らしながらそっと視線を上向けてみると、ふわりと笑顔を纏った冴島と目が合った。


「ん…?どないしてん」
「あの、もっと…してくれますか?」
「…嗚呼」


大きな手がするりとなまえの髪を撫でてゆくと、そのまま後頭部が軽々と引き寄せられる。
上唇を啄ばむように食まれたかと思うと、今度は下唇が冴島の唇によって吸い寄せられる。
そのたびに微かに聞こえる口づけの音がやけになまえに高揚感を齎し、その感情が再び熱っぽい吐息と共になまえの唇から零れ出た。


「なまえはこないに、甘ったれやったか?」
「っ、ごめんなさ…」
「嗚呼、ちゃうねん。なんや嬉しなってな」


くすりと笑い声を噛み締めた冴島に腰を抱かれただけで、なまえは身体の中心に熱が集まってゆくのを感じていた。
ソファに腰掛ける冴島の下腹部に跨っていたなまえは、其処にある冴島の熱に触れてしまうのが気恥ずかしくて微かに腰を浮かせたままだった。
膝で身体を支えながら冴島との口づけを堪能していると、なまえを包み込んでいた冴島の腕が重みを増してゆくのが判った。


「冴、っ…」
「ええからちゃんと座っとき」
「でも、っ」


ぐっと力を入れられてしまうと、その重みでなまえの身体は冴島と接触してしまう。
明細柄のパンツの上に脚を開いたままで腰を下ろしたなまえの入口には、異物が押し当てられている感覚が嫌でも伝わってくる。
衣服越しに感じている秘所の感覚が、なまえの脳裏に卑猥さを纏った冴島の姿を描いてしまう。


「なまえ…」
「っ、ん…ぅ」


意識が僅かに目の前に居る冴島から離れた途端に、なまえの唇を割ってぬるりとした塊が侵入を果たしてゆく。
触れ合うだけだった口づけは少しずつ激しさを増してゆき、深い口づけが一層なまえの身体に熱を齎した。
呼吸をしようと冴島から逃れようともがいても、屈強な両腕はそんななまえの抵抗などないもののように封じ込めてしまう。
絡まり合う舌先に翻弄されている間にも、なまえの蜜壷には徐々に愛液が溢れ出してゆく。


「っ冴、島さ…」
「ん…?」
「も、っ…足り、ない…」


なまえの言葉を耳に一瞬だけ唇を離した冴島が見せたのは、微かに驚きの混じった表情だった。
その表情は直ぐに消えて、次に浮かんだのはなまえが好きで好きで仕方がない、といわんばかりの嬉しそうに目を細める冴島の柔らかな笑顔だった。
冴島の笑顔ひとつで心臓が握りつぶされるような苦しさに見舞われて、なまえは目の前の逞しい首元に縋らずには居られなくなる。


「ベッド、行くか?」
「っ、ん…」


微かに頷いて答えると、再びなまえの耳にはくすりと笑う冴島の声が聞こえた。
軽々と持ち上げられた身体に浮遊感を感じたまま、なまえはぎゅっと冴島にしがみ付くのだった。
Kuss mich

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -