Lust | ナノ

体内に埋め込まれる指先の感覚に、息が詰まる。
その様を見下ろしながら眺める龍司の視線を受けて、なまえはそこから逃れるように顔を逸らした。
ゆっくりと中を掻き乱すその動きに合わせて、熱くなった吐息と粘質な水音が交じり合うように響く。
横たえたなまえの身体は左膝だけが立てられており、時折その内腿に龍司の唇が触れた。
龍司の左肩がなまえの立てた膝を押さえつけるような体勢を取っているせいで、なまえは閉じたくとも脚を閉じられない状態にあった。
開脚させられた其処は、自分でも判るほど蜜壷が濡れているのが感じられた。
ぐちぐちと厭らしい音が立てられるのが気恥ずかしく、またその音を増徴させるように愛液を垂れ流す自分自身がいたたまれず、なまえはそれならばと唇をきつく結んで喘ぎ声だけは殺したいという思いに駆られていた。


「なんで声出せへんねん」
「っ、ん…や、」
「嫌やあれへん、ええから聞かせぇ」


意地の悪い笑みを口元に湛えた龍司の腕をきつく掴むと、なまえはそれでも嫌々をするように頭を横に小さく振ってみせた。
薄明かりとは言え、目が慣れてきてしまうと相手の表情がはっきりと見て取れる。だからこそ、声を出す事も表情を覗き込まれる事もなまえは恥かしいとしか思えなかった。
だがなまえがどう思っていようとも龍司は執拗になまえの身体が反応を示す場所ばかりを攻め立て、額同士が触れ合いそうなほど間近で龍司はなまえの表情を窺っていた。
顔を逸らせば耳や首筋を食むように唇を寄せ、なまえが顔を向けても龍司はその唇でなまえに口づけをしようとはしてくれない。
なまえの仕草や表情をつぶさに観察しようとでもするような龍司の態度に、なまえはそれでも頑なに蜜声を殺そうと必死であった。


「お前のイく時の顔も声も、無ッ茶好きなんや。声出し」
「ッ、あ…」
「な…こないなっとんのに我慢しとるんは辛いやろ」


すっと細められた瞳が己の横顔を見つめている。そんな気配をなまえは感じ取っていた。
頑なに閉ざしていた唇は、龍司の手が速度を増して膣壁を擦り上げただけでいとも簡単に破られてしまう。
堪えようと思えば思うほど、意図せずも甘ったるく鼻に掛かったような声が漏れてしまい、身を捩って龍司の手から逃れようにも根本まで押し込まれた龍司の指が簡単に逃してくれるわけもなかった。
龍司の指先が中で第二関節から折り曲げたり伸ばしたりを繰り返す都度、一気に絶頂が近づいてしまう。
段々と思考が停止してゆくような、視界が真っ白になってゆくような感覚に陥ってしまうと、最早なまえは淫猥な声を堪えようと足掻いていた事すら忘れてしまいそうになった。


「早うラクなったらええわ」
「や、いッ…」


龍司の肉塊でピストンをされているのと同じくらいの感覚に襲われながら、なまえの身体が細かな痙攣を繰り返しながら限界を迎える。
意図せずとも膣壁がきつく龍司の指先を圧迫しているのが判るのだが、達した身体が簡単に力を抜ける筈はなかった。
弾むような呼吸を浅く繰り返したままでチラリと龍司の表情を窺ってみると、その視線に気付いた龍司は僅かに口元を歪ませた。


「ほれ見てみぃ、お前のクチはだらしのォなってんで」


ズル、と膣内から抜き取られた龍司の二本の指は、少しだけ粘質な体液が絡みついているのが良く判った。
その滑り気のある蜜が二本の指の根本まで覆っている事に気が付くと、なまえはそれだけで頬が熱くなったのを感じていた。
龍司がなまえの目の前で手を開くと、指だけに留まらず、彼の掌までもがねっとりと濡れているのが嫌でもなまえの目に付いた。


「手ェでされんのがそんなに気持ちええんか?」
「やだ、っ…龍司さん」
「せやけど手ェではちいとも鳴いてくれへんかったからなぁ…」


コッチでは我慢せんと声聞かせぇよ?
そう言ってにやりと口角を吊り上げて笑う龍司は、熱を孕んだ楔を強くなまえの入口へと押し付けるのだった。
ein schalten in die Finger

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