Lust | ナノ

坊主頭の手触りってシャリシャリしてて気持ちいいですね。
そう言って馬場の後頭部を下から上へと撫で上げていたなまえの身体に、ふとした拍子に真正面から触れ合ってしまった。
確か、くすぐったいですと言いながら彼女の手を逃れようと身体を捩った時だっただろうか。今となってはどの瞬間にこうなったのかは定かではない。
バランスを崩したなまえの身体は、馬場の上に勢いよく倒れ込んで来た。
彼女の重さ程度ではぐらつくはずもない馬場の身体は、驚きと焦りのせいかなまえを抱きとめたままごろりとひっくり返った。
だから今、馬場は床の上で天井を向きながらなまえの背に回した手を退ける事も出来ず、柔らかな胸を顔面に押し当てられたままで固まっていた。


「ば…馬場さん、手…」
「なまえさん…」
「っあ、」


発作的に込められた腕の力。脈打つ鼓動の動きまでもが鮮明に感じられるほど近くに、なまえの心臓があるのが判る。
手を離して彼女の身体を起こしてあげなければと思う反面、あまりにも突然すぎる接触に頭が働かなくなったというのもまた事実だった。
たが、頭の働きは鈍いくせに身体の反応だけはやけに早くて、馬場の下腹部には瞬間的に熱が集まっていく。


「なまえさん…っ、」
「や…っ、馬場さ…」
「ダメだ、すごい…柔らかい…」


何かが壊れてしまったような、そんな感覚が馬場の脳に残る。
背から臀部、太腿と、指先に触れる場所全てが心地良いほど柔らかい。もう後には引けないと、妙な実感だけが馬場の身体に充満していくのが馬場にも判った。
生身の身体はどれだけ滑らかな感触なんだろうかと、一瞬でも考えてしまえば確かめずには居られなくなってしまう。
服の裾から無理矢理手を捩じ込むと、馬場はなまえの背骨を指で這い上がりながら下着の金具を外した。
そのままなまえを抱き締めながら互いの身体を反転させると、馬場は彼女の上に覆いかぶさりながら貪るようにその柔らかな唇に吸い付いた。


「っ、んん…」
「なまえ、っ…なまえさん…」


なまえの名を繰り返す意外に馬場は言葉が出ない。本当は何もかもをゆっくりと堪能したいのに、欲する気持ちは先を急くようになまえの身体に触れようとしてしまう。
彼女の全身にくまなく触れたいのだが、下腹部の熱はそんな悠長な事を許してはくれそうもなかった。


「抱きたい…いいですか?」
「ダメって言ったら、どうするんですか…」


なまえからの返答に弾かれたように身体を起き上がらせると、いつの間にそうしたのかなまえの服はすっかり捲り上げられ柔らかな双丘が露になっていた。
合意も得ずに感情のままになまえを組み敷いた時点で強姦と取られてもおかしくはないと冷静に分析できるものの、眼下に晒された彼女の小さな突起にしゃぶりつきたいという欲求は止まなかった。
微かに息が乱れているのか、小刻みに上下するその柔らかな膨らみの動きが馬場の理性を陥落させてしまいそうになった。


「すみません、俺…」
「もう…最後までちゃんと、責任とってくださいよ…?」
「なまえさん…」


照れくさそうに馬場から視線を逸らしたなまえは、口元に小さく握った拳を押し当てながら反対の手で馬場の手をそっと握った。
彼女の手が馬場に触れた瞬間、彼の頭の中にはなまえを大事にしなければという当たり前のような正義感が芽生えた。


「こっちでもう一回、やり直してもいいですか?」
「…お願いします」


くすりと笑ったなまえのその笑顔に、漸く馬場にも笑顔を見せるだけの余裕が戻る。
なまえの身体を軽々と横抱きにすると、馬場はその背中を大切にベッドの上へと沈めていった。
ほんのり朱の差した頬にそっと指先を添えると、少しだけなまえと見つめ合った後で馬場は二度目のキスを交わすのだった。
Grund und Wunsch

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