Lust | ナノ

弾む息遣いがやけに大きく聞こえる。震えるように吐き出した吐息ですらも、鮮明に鼓膜を刺激する。
窮屈な車内で目一杯に座席を下げて行われる行為は、その窮屈さからか酷く緩慢なものであった。
それでもなまえは脳が痺れて何も考えられなくなるほどに喘ぎ、気にしなくていいと言ってくれた峯の言葉に従うかのようにシートが汚れてしまうほどの愛液を垂れ流す始末であった。


「こんなに濡らして…」
「っ、ごめ、んなさ…い」
「逢えない間、俺を思って一人でしたりはしなかったんですか?」
「な…んっ、」


深夜の埠頭は誰が来ることもないのだろう。そう頭では判っていても、自然となまえは声を殺そうと必死に唇を噛み締めていた。
峯の長い指が体内に沈むだけで背中が仰け反り、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てられればつま先がピンと伸びる。
なまえの耳を食みながら彼女の膣壁を掻き乱す峯もまた、震える吐息を隠す事もせずにふっと笑って見せた。


「貴女が一人でしている姿、俺は興味がありますよ」
「そんなの、っ…しませ…ッ」
「本当に…?それは、残念ですね」


粘質な音を立てながら指がなまえの中から引き抜かれたかと思うと、なまえの身体は引きずられるようにして助手席側から運転席の峯の身体の上へと覆い被さった。
半端に着崩された衣服の合間に覗く肌に、峯の唇が幾度も吸い付くように触れては離れる。カチャカチャと音を立てる峯のベルトのバックルは、もうすでに彼の足元へダークブラウンのスラックスと共に落ちていた。
いつの間に纏ったのか峯の雄には薄膜が覆い被さっており、既に左足首に下着が引っ掛かるだけの状態なまえは彼に導かれるままに運転席に沈む峯の熱を孕んだ其れの上にゆっくりと腰を下ろした。


「狭いから、あまり動いてあげられませんけど…」
「ん、ッ…」
「その分、今日はゆっくり貴女を堪能できる」


目を細めてそう告げる峯は心なしか余裕がないように見え、なまえはその視線に中てられただけできゅっと膣壁が収縮するのを感じた。
キスを強請りながら自らも微かに腰を前後すると、なまえの背中を支える峯が小さく呻いたのが聞こえた。


「なまえ…随分、っキツいですね…」
「峯、さ…っ」
「…可愛いですよ、とても」


なまえの首筋に唇を寄せながら、峯の両手は彼女を支えながらもゆっくりと円を描くようになまえの腰を揺さぶってゆく。
互いの秘所が擦り合わされる感覚が、激しさはないものの少しずつ確実になまえを絶頂へと導く。久々に受け入れる峯の圧迫感は、彼の其れが体内に居るだけでなまえの思考を止めてしまうほどの快楽をもたらした。
口づけの合間に視界の端に映る景色は、いつしか互いの吐息で白く曇った世界だけであった。


「貴女を迎えに行った時から、本当は直ぐにでも…こうしたかったんです」
「っ、あ…も、」
「それなのに貴女は…外ばかり眺めて」


本当に、俺を惑わしてばかりですね。
眉根を顰め、苦しげな表情を浮かべる峯に下から小刻みに何度も楔を突き立てられ、なまえは峯の頭を抱き締めながら最初の絶頂に身を震わせた。
密着せずには居られない狭い車内のシートの上では、高鳴った心音ですらも峯に聞こえてしまいそうである。


「まだ、ですよ」
「峯…っ、峯さん…」
「時間が来るまでは……」


貴女の中に、居させてください。
時が終わるまで、ただ…

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -