Lust | ナノ

指先がくしゃりとなまえの髪に絡まる。顎を反らして溜め息を漏らせば、露になった喉元に彼女の唇が宛がわれた。
痕を残すような痛みを感じるものではなく擽るような舌先の感触に、真島は全身が総毛立つような錯覚を覚えた。


「っア、カンて、も…」
「ん…」
「なぁ…ホンマ今日は、どないしてん…?」


己を組み敷くなまえの目はとろりと蕩けた目をしており、熱にでも浮かされたかのようなその視線に真島の心がざわつく。
嗚呼、こんな目も出来るのか…。真島は胸の奥でそんな事を考えながらも、なまえの視線だけで下腹部に集まる熱を抑える術がない事を感覚で感じ取っていた。
久しく二人きりで逢う時間が取れなかったせいなのか、互いに身体に熱を帯びていた事は事実なのだが、それにしたってなまえの熱に浮かされた瞳は真島にとって驚きでしかなかった。


「こんなん積極的なの、初めてやな」
「っ、真島さん…」
「そないな目ェして見んといてぇや…イってまいそうやわ」


視線が重なるだけで、柄にもなく頬が火照る。照れているんだろうかと自己分析すればするほど、なまえの瞳を見つめるのが躊躇われた。
ちろちろと蠢くなまえの舌先が首筋を這って鎖骨をなぞる。たったそれだけの事でも、真島の唇からは吐息が抑えられなくなる。
嗚呼…もう少し…。
刺激が欲しい場所を思わずなまえに口走りそうになってしまうのが情けなくてならなかった。


「真島さん、どんな風にして欲しい…ですか?」
「ッ…俺の弱点やったら、お前が一番良ォ知っとるやろ」
「じゃあ…」


ふわりと浮かんだ笑みが消えぬうちに、なまえの唇が真島の胸の突起を吸い上げる。音を立てながら啄ばむように触れた唇の感触だけで、真島は腰が浮いてしまうのを止められなかった。
一度目は辛うじて声を飲み込むことが出来たものの、なまえが真島の胸元を攻め立てる事を止める気配はない。
女の其れよりは小さな突起がなまえの舌先で転がされるたびに、戦慄くほどの快楽が真島の腰の辺りに集まってゆく。


「…ッ、なまえ……っん」
「ん、」
「アカン、て…ホンマ、ッ」


言葉とは裏腹に、指先はなまえの髪に絡みついたまま彼女の頭をその場に押し留めようと動いてしまう。
微かに歯を立てられると、真島はもう声など抑えることが出来ないのだ。
熱が集まり、既に痛いほどに硬さを纏った下腹部は、革張りのパンツの中に押し込められている事が窮屈でならないと主張している。


「焦らさんと、コッチも触ったって?」
「ふふ…まだダメですよ」


弧を描くなまえの口元を目にごくりと喉が鳴った。
下腹部を跨ぐなまえにぴたりと密着されると、互いの性器同士が触れて居る事に否が応にも意識が引きずられる。
なまえの体重による圧力だけでは刺激が足らず、真島は焦れる身体を揺さぶりながらなまえの秘所に己の肉塊を擦りつけた。


「なまえ…ッ、なまえ…」
「もっとこっち、してあげます」


妖艶な表情で胸元に沈むなまえを前に、真島は頭が痺れるような錯覚を覚えずには居られない。
歯を食いしばって顎を反らす姿はまるで鳴かされる女のそれと同じだと自覚しながらも、指先だけはなまえの頭を押さえ付けて離れようとはしなかった。
欲する指

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