Lust | ナノ

隣り合った裸の身体が布団に包まれる様を目に、城戸の唇からは溜め息が零れ落ちる。
そっと遠慮がちに二の腕に触れるなまえの手が愛おしさを増幅させる。
閉ざした瞼を縁取る睫毛の長さや、薄く開かれた唇から規則的に繰り返される呼吸、眠るとあどけない子供のような無垢な寝顔。
最初から知っているはずのなまえの可愛らしさが、眠るとゆっくりと堪能できるのが城戸にとっては幸せだった。


(やっぱ、疲れちゃったかな…)


忙しくて最近ずっと逢えていなかった事に加えて、溜まった欲も吐き出す暇が無かった城戸は、久々の逢瀬で自らの気の済むまでなまえの身体を堪能した。
抱けば抱くほどに自分を欲してくれているかのように強く締まってゆく膣壁に、城戸の雄が萎えるには時間が掛かったのだ。
項にじわりと浮かんだ汗に柔らかな髪の毛が張り付く様にも興奮して、体位を変えて何度もなまえの中に熱を放たずには居られなかった。
行為後の余韻を楽しむ余裕も無かったのか、なまえは城戸の熱に解放されると、荒い呼吸を落ち着ける最中に疲れ果てて眠りに落ちてしまったのだった。


「なまえ、ちゃん」


隣り合ってベッドに沈むなまえの素肌から伝わる体温が心地良い。
眠っていても己の腕にそっと触れて離れないなまえの仕草が、可愛くて堪らない。
すやすやと眠るなまえの前髪をそっと払ってみると、一瞬だけ潜められた眉根がとても愛おしく感じられた。


「ホント、勿体無ェな…俺なんかになまえちゃんみたいな可愛い子…」


露になった額にそっと唇を押し付けてみれば、なまえの身体が少しだけ身じろいだ。
重たい瞼は開く気配を見せず、起きて欲しいようなもう少しだけ寝顔を見て居たいような、幸せな葛藤が城戸の胸を支配した。
指先に触れる肌は全てすべやかで柔らかく、その感覚を楽しんでいるだけでも城戸は一日中過ごせそうなほどだった。


「マジ…好きだわ、なまえちゃん」


こつんと額同士を重ね合わせると、鼻先が触れあう距離で城戸は静かに囁きかける。
すぅすぅと規則的な寝息が唇に掛かるのがくすぐったくて、それでもなまえの傍から離れる気にはなれなかった。
汗の香りがシャンプーの香りと交じり合い、なまえ独特の優しい香りが芳しい。
なまえの香りに誘われるように身体を擦り寄らせると、城戸は眠るなまえをそっと抱き締めた。


「なまえちゃん、」
「…ん、」
「大好きっす…マジで」


なまえを抱き締めながら視線だけでカーテンの引かれた枕元の窓を見遣れば、夜明けはまだ遠いようだった。
このままずっと朝が来なければ良いのに、と薄暗い一室で叶わぬ夢を願いながら、城戸はそっと瞳を閉ざすのだった。
神様、もう少しだけ…

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