Lust | ナノ

服では隠し切れないほどたくさんのキスマークを首筋に刻まれた後、なまえの身体は乱暴にベッドに返された。
恐怖を覚えたのはベッドの上に突き飛ばされるように身体を沈まされた時からで、ほぼ無言のままで始まった首筋への口づけの合間になまえの纏っていた服は剥ぎ取られるように脱がされていた。
うつ伏せにされた腰を掴まれたかと思うと、柏木の手によって身体が四つん這いにさせられる。
待って、という制止の声も虚しく、少ししか愛撫を受けていないにも関わらず濡れてしまった入口に柏木の雄がめり込んでいった。


「やだ…っ、柏木さ…」
「嫌な相手にもこんなに濡らしてんのか…?」
「っ、あ…やめ…、ッ」


冷たく響く声に、頭が混乱する。
普段の優しい柏木からは考えられないほどの手荒い行為にも関わらず、柏木の手によって拓かれたなまえの身体はあっけないほど簡単に柏木を受け入れる状態を整えてしまう。
甘く囁く声も、丁寧に触れてくれる唇も今日は無い。一体どんな表情で自分を見下ろしているのだろうかと、不安な気持ちを静めたい一心でなまえは突っ伏したままの顔を持ち上げて柏木の表情を窺う事に必死だった。


「かし…っ、んぅ…」
「これでも咥えてろ」


振り向いたなまえの咥内に、無理矢理柏木の中指が押し込まれる。
冷たい目をして己を見下ろす柏木の姿を目にしながらも、なまえは彼の求めに応じようと懸命にその指先に舌を這わせた。
背後からまるで犯すように容赦なく雄を捩じ込む律動に身体を揺さぶられながらも、なまえは彼の其れを舐める時と同じくらい丁寧に柏木の指を口に含んでしまう。


「ん…っ、う…んん、」
「お前は…俺しか知らないままで居ればいいんだ…」


挿入時から一度も速度を落とす事なくなまえの中を出入りする柏木に、あっけなくなまえは絶頂を迎えて身体を震わせた。
それでも柏木のピストンは止む事はなく、なまえと呼吸を合わせようとする素振りすらも見せない。
まるで柏木が己の快楽の為だけに腰を打ち付けているようで、そんな行為の中にあっても愛おしげに彼の指に舌を這わせるなまえの姿が彼女自身も滑稽に思えてならなかった。


「ひ…あっ、やめ…っ」
「ッ…、なまえ…」


咥内から引き抜かれた柏木の中指は、なまえの唾液を纏ったままで互いの結合部の頂にある彼女の蕾を擦り始める。
頭が真っ白になるような強すぎる刺激に身体を支えきれず、なまえはベッドに顔を突っ伏すようにしながらシーツをぎゅっと握り締めた。
それでも快楽の波にアッサリと飲み込まれてしまうと、膣壁を大きく脈動させながらなまえの身体は柏木の雄を締め付けて震え出した。


「幾らでも…イかせてやる…」
「っあ…、かし、わぎさ…ッ、」
「ほら、っ…出すぞ」


一層強く腰を打ちつけながら囁かれた言葉に、なまえの子宮口がきつく閉ざされてゆく。
柏木自身を喰い千切らんばかりに締め付けながら達するなまえの中で、柏木の雄が大きく脈打ちながら爆ぜた。
ビクビクと跳ねるような脈動は互いに同じで、搾り出すように最後まで腰を打ち付ける柏木のひとつひとつの動きにすらもなまえは嬌声を上げながら蜜声を零していた。


「っ…なまえ、」
「ん、っ…」


緩やかに弧を描いてしなるなまえのじわりと汗ばんだ背中に柏木の唇が触れた途端、なまえの瞳からぽろりと一滴の涙が伝い落ちた。
これまでの行為の最中に感じていた恐怖感が後から後から込み上げて、行為後の柏木の発する言葉への恐れからか、なまえは柏木の表情を見れずに居た。
初めて見る柏木の一面はこれまで彼に対して抱いていたなまえの中の【柏木修】とは、どこにも共通点を見出す事が出来ないくらいに荒々しく粗野な一面を隠すことなく見せ付ける形となった。


「なまえ、頼むから…俺を妬かせないでくれ」
「かし…わぎさん…」
「…お前の事になると、余裕がなくなる」


ずるりと柏木の其れが出て行く感覚を感じながら、背中に触れたままの唇が言葉を発するたびになまえの身体が小さく身じろぐ。
彼に妬く事はあれど、なまえは柏木が己に妬いてくれる事があるだなんて到底信じる事など出来ない。
いつも冷静で達観していて、大人な対応を崩すことなくなまえにも紳士的な接し方をしてくれている。そんな人に嫉妬などという幼くて醜い感情はどうやっても似合わない。


「私、何か…」
「いや…聞くな。情けねぇから」


背中に圧し掛かるようになまえを抱き締める柏木の顔は、なまえが幾ら首を捩って振り返っても見ることは出来なかった。
唇が走る背中と内腿に押し当てられた肉塊の硬さを感じながら、なまえは柏木の手を取るとその手の甲にそっとキスを落とした。
Ich Will

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