Lust | ナノ

「少し黙れ…」
「っ、う…ん、」


苦しそうなくぐもった声を無視したまま、杉内の左手がなまえの口元を鷲掴みにして覆う。
強い力で押さえつける杉内の指先から仄かに香った煙草の香りが、息苦しさとは別の苦しさをもたらした。


「ふ…っ、んぅ…」


背骨に当たる壁の痛みを忘れてしまう程の痛みが首筋に走ると、堪らずなまえは声を上げる。
鎖骨の辺りに立てられた歯に一瞬なまえの身体が大きく竦んで跳ね上がった事を感じ取っても、杉内が行為を止める事はなかった。
鎖骨から少しだけ唇の位置が上がり、今度はぬるりとした舌先の感触が首のラインを駆け上がる。
杉内が身体を僅かに動かすたびに髪に残った整髪料とヤニの香りが鼻腔を刺激し、頭の中がどろりと溶け出しそうになった。


「欲しがってんじゃねぇよ」
「ん、っ…んっ」
「テメェは本当に淫乱な女だな…」


耳朶を食まれながら投げ掛けられるなじるような言葉ですら、なまえの身体を熱くさせてしまう。
杉内の右手の無骨な指先が下着越しの秘所をぐりぐりと乱暴になぞるだけで、子宮の奥に痺れるような電気が走る。


「ガキの分際で…身体だけは一人前に女になりやがって」
「う…っんぁ、っ…」
「抵抗したって無駄なんだよ…。所詮テメェの身体は俺に仕込まれたんだからな」


意識が遠のきそうになる程の息苦しさの中、それでもなまえの蜜壷は杉内から与えられる刺激に悦ぶかの如く、下着を湿らせ始めていた。
乱雑に触れられる事よりも直接的な刺激を与えて貰えない事の方がなまえにとっては辛く苦しい事であった。
欲しいと乞うような視線を送っても見て見ぬふりを決め込む杉内に、なまえはもどかしさで壊れてしまいそうになる。


「精々、焦れてろ…」


そう簡単に、テメェにゃやらねぇよ。
太腿に押し当てられたスラックス越しの肉塊の感触が、なまえの心を蝕む。
口を押さえつける手が外され、甘美な口づけを与えられる事を夢見るように待ち侘びながら、なまえはもどかしさに耐え切れず固く瞳を閉ざしたのだった。
well-behaved

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