Lust | ナノ

ベッドに押し倒されるような体勢で天井を仰ぐ渡瀬の上にはなまえが圧し掛かっていた。
この状況下でどう行動するのが正解だろうかと探りを入れる渡瀬の両腕は、考えあぐねた結果、とりあえず大の字状態で左右に大きく広げられたままだった。
抱きしめようか、それとももう少し様子を見ようか。
そんな葛藤の合間にも、なまえの髪から漂うシャンプーの香りが渡瀬の身体を疼かせた。
本来こんな状況であれば真っ先になまえを抱きしめてしまうところなのだが、なまえが次に見せる行動を期待するあまりこの均衡を壊すのが躊躇われる。
たまには好いた女に攻められたいというのが男の性というものである。が、こんなおいしい状況をただ待つことが出来ないというのもまた、男の性であった。


「なまえ…どないしてん」
「……」
「いつまでもダンマリやと判らんで?」


押し倒されたその先を促すように声を掛けると、渡瀬の首筋に埋められていたなまえの顔が僅かに持ち上がる。
重なった視線の熱っぽさと物欲しそうな瞳に中てられた渡瀬は、堪らずごくりと生唾を飲み込んだ。
なんちゅうエロい顔しよんねん…。
心の中でそんなことを思いながらなまえを見つめるうちに、華奢な指がネクタイを緩め始めた事に気が付いた。
ひとつひとつ外されてゆくシャツの釦が首元から裾まで全てなまえの手に掛かるのをただじっと眺めているだけで、渡瀬の中心には熱が集まりだす。


「ホンマ…今日はどないしたんや…?」
「っ、嫌…でした?」
「んな訳あるかい…見たら判るやろ」


ニッと笑みを浮かべながら渡瀬が顎で指し示した其処は、スラックスを押し上げて山を作っていた。
ちらりと其処に視線を向けたなまえは、その様子を察した途端にパッと頬を染め出した。
自ら仕掛けてきておきながら、そうやって照れるのは反則だ…。
妖艶な瞳が急に無垢な少女のそれのように変わる様が、渡瀬にとってはたまらなく愛おしいと感じられてならなかった。


「なまえ、ワシが欲しかったんやろ?」
「…っ、ん…」
「ほんなら、最後まで自分でせなアカンのちゃうか?」


右腕を持ち上げて渡瀬がするりとなまえの頬を撫でると、掌に微かに体重が預けられた。
蕩けた瞳が再び色香を纏いだした事に気付くと、渡瀬の親指が無意識のうちになまえの咥内へと差し込まれた。
ぬるりとした感触と指の先端に触れる熱に、渡瀬の意識が集中する。己の指を舐るなまえの表情の艶かしさが、誘っているようにしか見えないのだ。
愛おしそうに指を咥えるその姿を口淫しているものだと頭で置き換えてみると、渡瀬は気が急くのを抑える事が出来なくなり始める。


「嗚呼もうアカン…待ってられへんわ」
「渡瀬、さん…」


なまえの咥内から親指を引き抜くと、渡瀬の右手はなまえの後頭部を引き寄せるように力を込めた。
再び渡瀬の上へと倒れ込んだなまえの身体を抱き寄せながら、渡瀬は幾度もなまえの唇を堪能する。
舌を絡ませながら存在感を露にしだした下腹部をなまえの下着越しの入口へと押し当てると、腰を浮かせるなまえを無理矢理押さえ込んで何度も互いの秘所を擦りつけた。


「ついこの間まで初めてやったとは思えんエロさやな、なまえ…」
「や…っ、」
「嫌なことなんぞなんも無いわ。お前にそないして見られんの、ごっつ堪らん」


見上げた先の恥らう表情を存分に堪能しながら、渡瀬の指がなまえの服へと掛かる。
求められる事に素直に喜びを感じつつ、焦らすように少しずつ渡瀬の手によってなまえの素肌が露にされてゆくのだった。
man's nature

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