Lust | ナノ

少し開かれた唇が、ゆっくりと迫る。
咥えられるのだろうか、と身構えたものの、その唇はキスをするようにいきり立った肉塊の先端を啄ばむだけだった。
だが、その緩い刺激にも関わらず、冴島の口からは思いがけぬ吐息が漏れた。
何度も咥えるのではないかと思わされるほど薄っすらと開かれた唇が迫るものの、なまえは相変わらず冴島の大きく膨らんだ先端にキスを落とすばかりである。
焦らされていると思えば思うほど、何故か冴島の身体が敏感になってゆく。
もどかしい。が、そのもどかしさが癖になりそうなほど心地良いのだ。先端から徐々に根元に向けて唇が伝い降りてゆこうとも、なまえが与えるのは相変わらず啄ばむような口付けだけだった。


「っ、なまえ…」
「はい、」
「な…、頼むわ、もっと…」


堪らずなまえに強請ってみたものの、なまえは嬉しそうに口元に笑顔を浮かべるだけであった。
じっとりとした変な汗が冴島の背中に浮かび始めるも、なまえが与える刺激は変わらずもどかしさしかない。
今度はようやく舌先が現れたかと思ったが、その舌先もとても遠慮がちに立ち上がった其れの裏側を少しずつ往復するばかりである。
ソファに深々と腰を沈める冴島の足の間、膝を付いて冴島の中心に唇を寄せるなまえの頭を、冴島は無理矢理押さえつけて動かしたいという衝動に駆られた。
だがそれと同時に、ぎこちなくも自ら口淫を買って出たなまえの行為をもうしばらく眺めていたいという欲求も湧き上がる。
情けなくも、焦らされた冴島の雄の口からは透明な体液が溢れ始めていた。
ちろちろと擽るように舐められる程度の刺激にこの様か、と、冴島は吐息を隠すように溜息をついてみせる。


「っ、は…なまえ…っ、」
「ん…、」


ようやくなまえが冴島の先端を口に含むと、舌先に僅かに絡みつくようなとろりとしたものを感じた。
舐め取っても次々と溢れる其れを、先端を口に含んだままで何度も舌を絡ませながら舐め取っていると、なまえの頭上から震える吐息が降り注ぐ。
咥えているのはあくまでも先端の膨らみだけなのだが、其処を転がすように動くなまえの舌先が冴島には大きな刺激となって襲い掛かる。
耳に届いたその吐息に思わずなまえがちらりと視線を向けてみれば、なまえの目には顎を逸らして刺激に耐える冴島の姿が映し出された。
嗚呼、感じてくれているんだ…。
そう思うと、なまえの中からも勝手に熱い蜜が溢れ出す。
舌に絡まる冴島の味に既に全身を火照らせていたなまえにとっては、冴島が己の行為に反応を示してくれているのが何よりも嬉しかった。


「冴島、さん…っ、気持ち、いですか…?」
「は、っ…も、ホンマに、堪らんわ…」


大きな身体が時折敏感に跳ねる様子が、なまえの視線を惹きつけて離さない。
冴島がそんな姿を見せてくれるのは自分がどのようにした時なんだろうか、となまえは硬くなった其れを咥えたまま舌を動かしながら冴島から視線を外さずには居られなかった。
深く刻まれた眉間の皺と、僅かに食いしばった口元、時折吐息を漏らして顎を逸らす様に、どうしようもなく欲情してしまう。


「こ、ら…っ、覗き見なんて、せんといてくれ…」
「っ…ん、」


嗚呼、嬉しいかも…。
なまえの視線を逸らせようと伸びてきた大きな掌が頭を撫でる感触が、なまえにこの上なく幸福感をもたらしてくれる。
素直に視線を下げ、今度はもっと深くまで冴島の雄を咥え込んでみると、途端に漏れた冴島の声がなまえの胸を締め付ける。
口に含めるだけ冴島の楔を納めると、時折吸い付きながらなまえは頭を上下させて肉塊を唇で扱く。
その度に吐息ではなく切なげな呻き声が鼓膜を揺さぶるのが、なまえにとっては嬉しくて仕方がなかった。
髪をなでていた冴島の大きな手がなまえの頭を掴んだかと思うと、なまえ自身の意思とは無関係に上下に動かされる。
息苦しさ以上に余裕の無い冴島の行為が嬉しくて、なまえは咥内を出入りするその塊に懸命に舌を纏わせた。


「っあ…なまえ…、っ…」
「…う、っんん…」
「ホンマ、っアカン……イきそ、なるわ…」


舌先に冴島の雄が脈打つのを感じ、なまえは熱が放たれる衝撃に構えたが、一度奥まで捩じ込まれた楔が動きを止めたかと思うと、そのまま勢い良く冴島の其れはなまえの咥内から引き抜かれた。
自由になった唇を開いたまますぅっと酸素を吸い込んでいるうちに、なまえの唾液で濡れた冴島の肉塊がなまえの目の前に露になる。
根元から先端まで冴島の太い指が二、三度往復したかと思うと、大きく息を吐き出す冴島の呼吸に呼応するように怒張したその先端から白濁の熱が爆ぜた。
肌蹴た冴島の割れた腹筋に飛び散る飛沫に、突然なまえの中に羞恥心が芽生えた。


「っ、は……、出してもうた…」
「冴島さ…っ」
「無茶苦茶気持ちええわ、なまえの口ン中」


少し照れくさそうな、どこかバツの悪そうな、そんな冴島の表情がなまえの鼓動を高鳴らせる。
堪らずに冴島の膝に手を突いて身体を起き上がらせると、なまえはそのまま未だいきり立つ冴島の雄の上に跨った。
冴島の雄の上に宛がった入口を緩々と揺さぶって押し付けながら冴島の頬に両手を添えて唇を塞ぐと、冴島の両手もまたなまえの背中を力強く抱きしめ、互いの舌先が貪るように絡みつく。


「っ、お前…もう濡れとったんか?」
「だ…って、も…」
「厭らしいな…。けど、ごっつ嬉しいわ」


にやりと笑って視線を下げる冴島に倣ってなまえも視線を下げると、冴島を跨いだなまえの入口傍に先ほど放たれた白濁が纏わりついていた。
エロい眺めやな、とどこか嬉しそうに告げる冴島の言葉に、なまえの顔が熱くなる。
ぬるりとした肉襞を割って押し込まれ始めた塊に息を呑むうちに、冴島の其れがゆっくりとなまえの中へと納まってゆくのだった。

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