Lust | ナノ

愛おしいと思えば思うほど、渡瀬はなまえに触れることが躊躇われた。
親子ほど離れた、と言っても過言ではないほど若いなまえに、渡瀬自身もここまで夢中になるとは思わなかったのだ。
どうしたものかと険しい顔をしながら悩ましげに溜息をつくと、ソファで横並びに座っていたなまえがスッと渡瀬の顔を覗き込んだ。
突然目の前に現れた愛しい人の顔に、図らずも渡瀬の心臓が大きく跳ねあがる。


「どうしたんですか、渡瀬さん」
「いや…なんでもあれへん」
「そんなに難しそうな顔してるのに、ですか?」


不安げな表情を浮かべるなまえに慌てて笑いかけると、ホンマに何でもないんやと告げながら渡瀬はなまえの頭をぽんぽんと撫でてやった。
それでも納得行かないのか、なまえはその表情を変えることなくじっと渡瀬を見つめたままで微動だにしない。
なまえのこの察しの良すぎるところが、今の渡瀬には正直怖くもあった。


「渡瀬さんは…私のこと、迷惑ですか?」
「なまえ…?」
「やっぱり、子供みたいですか?」
「何を…言うて、」


綺麗な顔立ちのなまえの眉根に寄せられた皺が、嫌でもなまえを艶っぽくさせる。
堪らずごくりと生唾を飲み込む渡瀬の脚の上に、なまえは大胆にも跨るように身体を寄せた。
頭の中では現状を理解できずとも、自然と渡瀬の両腕がなまえの腰にするりと絡み付いていたことに渡瀬自身も気付いては居なかった。


「なまえ、お前…」
「私もっと…渡瀬さんに触れて欲しいです」


ダメですか?
ねだるようにぎゅっと渡瀬の白いスーツのジャケットを掴んで問いかけるなまえに、渡瀬の理性などは驚くほど簡単に揺さぶられてしまう。
なまえの腰に回していた手はなまえの後頭部を押さえつけ、そのまま渡瀬は奪うようになまえの柔らかな唇に喰らい付いた。
思っていた以上に柔らかい唇の感触とふわりと鼻腔を擽るなまえの甘い香りに、抑え込んでいた渡瀬の欲は箍を外れて溢れ出す。
咥内に捩じ込んだ舌先で乱暴に中を掻き乱すと漏れた蜜声が、一層渡瀬の余裕を奪い去ってしまった。


「知らんで…、ワシをその気にさせよって…」
「っ、渡…」
「ワシが今まで…どんな思いで耐えて来た思っとんねん」


己の脚に跨るなまえの身体を容易く抱きかかえると、渡瀬はその場で互いの位置を反転させた。
柔らかなソファになまえの背中を沈め、横たわったなまえに覆い被さりながら唇を貪っていると、いつの間にか己の背中に回っていたなまえの手が強くジャケットを握り締めたのが判った。
それでも、今さら怖いと言われたところで止まることなどできない渡瀬は、強引になまえの脚を開かせるとその間に己の身体を収めこんだ。


「なまえ…ここまで来て、止めたる気ィはないで?」
「渡瀬、さん」
「お前が泣いても喚いても…ワシはお前抱くんを今さら止めへんからな」
「はい…、も…いっぱい、して…」


なまえの一言を耳に、なまえの咥内へと侵入を果たした渡瀬の舌先は激しさを増して中を掻き回した。
苦しそうな、けれども甘ったるいほどの吐息が漏れ聞こえるだけで、渡瀬の雄はスラックスの中で痛いほどに膨張し始める。
互いの唇を離さぬままで乱雑にスーツを脱ぎ散らかし、ワイシャツから両腕を外し終えると、渡瀬の唇は僅かに息を乱しながらなまえの唇を解放した。


「ワシを本気にさせよって…」
「渡、っ…」
「悪い女やな…お前は」


蕩けた瞳が放つ色香に背筋を震わせながら、渡瀬の唇がなまえの首筋へと貪りつく。
跳ね上がる柔らかな身体を強く抱きしめながら、渡瀬の手が徐々になまえの服を乱し始めるのだった。

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