Wrath | ナノ
(龍司@たこ焼きくるり)


「もう返してもいいんですか?」
「ん?せやな、そろそろええんちゃうか」
「じゃあ龍司さん、お手本見せてください」

はい、とピックを手渡すと、龍司はやれやれといった表情を浮かべてなまえの手からそれを受け取った。
鉄板の淵を突くようにしてピックを差し込むと、半熟の中身が90度ほどたこ焼き用の鉄板の中で返された。

「いっぺんにひっくり返さんと、最初は半分だけ返した方が旨いんや」
「そうなんですか?私、最初から一回転させるんだと思ってました」
「ま、わしの好みやっちゅうだけの話なんやけどな。ほれ、なまえもやってみ」

返されたピックを手になまえがツンツンと生地の収まるくぼみを突いてみるものの、龍司のようにうまく半回転させる事が出来なかった。
なかなか回らない生地を突きすぎたところで、龍司がくつくつと笑い出したのがなまえにも判った。

「お前、意外と不器用やなぁ」
「そんなに笑わないでくださいよ…」
「スマンスマン、可愛なってな」

大きな身体をのそりと立ち上がらせると、龍司はテーブルを挟んで対面していたなまえの背後へと回り込んだ。
ピックを握るなまえの手をその上からぎゅっと握り締めると、龍司はなまえを導くようにじゅうじゅうと音を立てる鉄板にピックの先を誘導した。

「生地が焼けとったら、ココの淵んとこに刺したら回せんで」
「あ、ホントだ…。簡単ですね」
「しかしホンマに意外やったわ。お前、手先は器用そうに見えんのにな」
「…龍司さん意地悪」

喉の奥で笑いながらもなまえの頭をぽんぽんとなんども撫でる龍司は、とても愛おしそうになまえを見つめていた。
少しだけ頬を膨らませたままで龍司から顔を逸らすと、なまえは怒ったふりをやめて口元を緩ませてピックを動かした。


***
ご指導ご鞭撻シリーズ
龍司とたこ焼きを焼こう!
関西圏の方はお得意なんですよね!という事で、龍司にたこ焼きづくりのコツを教えていただきたい^^
あまり細かな事は得意じゃなさそうな龍司ですが、こればかりはお上手なんでしょうねー。食べたい!そしてニヤニヤ顔の龍司に頭を撫で撫でされたい…!!

Nov18 17:07


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