(冴島@射的)
パンッ、と弾けるような音が鳴った瞬間に、目の前に陳列されていた的がパタンと倒れた。
10発のコルク弾は残りあと3発。冴島は7発のコルク弾で6コの駄菓子を打ち落としていた。
「冴島さん、凄いですね!何でそんなに命中するんですか?」
「嗚呼…ちょいコツがあるんや」
なまえもやってみるか?
少し嬉しそうな笑顔で振り返った冴島に頷いてみせると、なまえは冴島から射撃用の銃を受け取った。
なまえの背後にすっと移動すると、冴島の両手がなまえの両手に添えられた。
「台の上に肘ついて、ほんで良ォく狙うんや」
「え、と…こうですか?」
「せや。で、的より少し右上んとこを狙って…」
引いてみ?と低い声に促されるように人差し指を軽く曲げると、パンッと勢い良く響いた音が鼓膜をつんざく。
キャラメルの箱が微かに動いた程度ではあったけれど、なまえの放ったコルク弾は間違いなく的を掠めたようだった。
「ええ感じやな。少し練習したら、きっとうまなるで」
「ありがとうございます」
嬉しくてくるりと振り返った途端、互いの鼻先が触れ合った。
慌てて離れた冴島の耳がほんのりと赤く染まっていて、なまえは照れくささとともに背中を抱きすくめる温もりが離れてしまった事に、少しだけ寂しさを覚えた。
「あの…」
「残り2発で、今度は一人でやってみ」
顔を逸らしたままで告げられた言葉に従ってなまえが再び引き金を引くと、コルク弾は明後日の方向へと飛んでいってしまった。
あまりの大ハズレにチラリとなまえが冴島に視線を投げかけると、破顔した彼の笑顔が夏祭りの喧騒の中で一際輝いて見えた。
***
ご指導ご鞭撻シリーズ
冴島さんに射撃を習おう!
やっぱり冴島さん=狩猟のイメージが強いので、射撃が外せませんでした。
あまり意識せずにくっついて教えてくれて、何かの拍子に「わっ!めっちゃ近いやんか!」と照れてくれると可愛いですね^^照屋さんめ!!
Nov18 17:06